速報19)2011年11月の地震予報

10月の地震活動で注目されるのは,日本海溝の外側で地震が再び活発化したことである.ここでは,東日本巨大地震の40分後に日本海溝付近の太平洋プレートが急激に引き込まれ正断層型余震Eaft M7.5(図32の最上小円断面図右端)が起こっている.その後のCMT解の公表されている海溝外地震(速報18)も3月に8回,4月に7回,5月に7回,6月に10回,7月に3回,8月に7回と継続して正断層型地震を起こし,本震によって急激に沈み込んだ太平洋プレートの引き摺りが続いた.その間に7月10日には引き摺り込まれたプレートが滞り,調整するための横ずれ断層型地震oMyg M7.0(図32の最上小円断面図右)が起こっている(速報13).また,8月25日には太平洋プレートの底で起こり,プレートの切断も心配された(速報15).9月に1回と沈静化したかに見えた海溝外地震の活動も10月に7回,11月に入ってからすでに4回も起こっている(図32).3月からの海溝外地震10回の後に4月7日の宮城県沖M7.1と4月11日浜通M7.0が起こったことから,明治三陸津波地震後に起こった3つ目の宮城県沖地震(速報9)の再来が心配される.

図32.

図32 CMT震源図2011年10月.×:初動震源,結線端:CMT震源,赤(黄):逆断層型,黒:正断層型,緑:横ずれ断層型


また,10月の初動発震機構震源は,浜通のM4.0以下の正断層型地震活動は続いており,関東地方の深度数10kmの逆断層型地震活動もある他,能登半島・飛騨・長野・伊豆そして喜多方でも活動が認めらるため,これらの地域でも注意が必要である(図33).

図33.

図33.初動震源図2011年10月