速報64)継続する地震活動の静穏化と太平洋プレートの沈み込み・2015年2月の地震予報

1.2015年1月の地震活動

 気象庁が公開しているCMT解を解析した結果,2015年1月の地震個数と,プレート運動面積に対する総地震断層面積の比(速報36)は,日本全域で23個0.084月分,千島海溝域で1個0.016月分,日本海溝域で12個0.189月分,伊豆・小笠原海溝域で4個0.230月分,南海・琉球海溝域で6個0.024月分であった(2015年1月日本全図月別).
 全国の地震断層面積比が0.084月分とプレート運動の10分の1以下であり,2014年以来の静穏さを継続し,M6.0以上の地震も無かった.

2.2015年2月の地震予報:

 全国の地震断層面積比がプレート運動の10分の1以下の0.084月分であることは,東日本大震災前の全域の平均面積比がプレート運動面積と同程度の0.997であったことと比較すると異常に小さい.日本海溝に沿う太平洋プレートの同心円状屈曲沈み込みが震災によって再開され(特報1),これを明確化した圧縮過剰正断層-to型海溝外地震M4.5が2015年1月14日に起こっている(2015年1月東日本月別).震災で再開した太平洋プレートの沈み込みが継続していることは確実である(図146).2014年から続いている静穏化は,震災による急激なプレート間の歪解消が終息し,弱いプレート間相互作用のもとに太平洋プレートが沈み込んでいるための静穏化と考えられる.

図146.日本海溝域の海溝外地震.  2011年3月の東日本大震災第3余震以後,多数の圧縮過剰正断層-to型海溝外地震(紫色)が最上小円区を中心に起こっており,太平洋プレートの同心円状屈曲沈み込みの再開を示す証拠である.2015年1月14日にも圧縮過剰正断層-to型海溝外地震M4.5が起こっており,再開された太平洋プレートの沈み込みは継続している.

図146.日本海溝域の海溝外地震.
 2011年3月の東日本大震災第3余震以後,多数の圧縮過剰正断層-to型海溝外地震(紫色)が最上小円区を中心に起こっており,太平洋プレートの同心円状屈曲沈み込みの再開を示す証拠である.2015年1月14日にも圧縮過剰正断層-to型海溝外地震M4.5が起こっており,再開された太平洋プレートの沈み込みは継続している.

 太平洋プレートの沈み込みが継続しているので,宮城県沖地震のような同心円状屈曲スラブの平面化による地震(特報1)に警戒が必要である.東日本大震災で歪の解消されなかった第1余震より北方の襟裳岬南方沖の十勝沖地震の再来(速報61),そしてフィリピン海プレートの新たな運動様式(速報63)にも警戒が必要である.