月刊地震予報155)2022年8月の月刊地震予報

1.2022年7月の地震活動

 気象庁が公開しているCMT解によると,2022年7月の地震個数と総地震断層面積のPlate運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で13個0.091月分,千島海溝域で2個0.117月分,日本海溝域で5個0.150月分,伊豆・小笠原海溝域で3個0.124月分,南海・琉球海溝域で3個0.031月分であった(2022年7月日本全図月別).総地震断層面積規模はΣM6.2で.最大地震は千島海溝域の襟裳小円北区の和達震源帯襟裳震源区WdtiEの2022年7月2日深度324㎞ M5.9で,M6.0以上の地震はなく,日本全域が静穏化した(図481右下図左端Total).このような日本全域静穏化は2021年8月・2022年1月以来である.

図481.2021年1月から2022年7月までの日本全域19ヶ月間のCMT解
 震央地図(左図),海溝距離断面図(中図)
 地震断層面積変遷(右上下図):右縁の数字は月数(図422説明参照(月刊地震予報144).
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2.2022年8月の月刊地震予報

 琉球海溝域は,2021年8月以来,M6級の地震活動を続け,その累積地震断層面積はBenioff曲線で階段状に増大していたが,2022年7月は静穏化している.この静穏化が次のM6級地震までの待機期間なのか,M7級の巨大地震の待機期間なのかは分からない.M6級地震活動で,局所的歪を解消し,全体としての破壊強度を増大させてより大きな歪を蓄えM7級地震の待機期間となれば長くなるであろう(月刊地震予報153).これまでのBenioff曲線の階段の幅は1ケ月半から2ケ月であることから,来月2022年8月も静穏化している場合には,M7級への警戒が必要である.
 日本海溝域では,前弧沖震源帯2022年3月16日M7.4Pの余震が数か月続くと予想されたが,3ヶ月目の6月末にIM解も減少し,終息に向かっているようである.