速報54)2014年5月の地震予報

1.2014年4月の地震活動

 気象庁が公開しているCMT解を解析した結果,2014年4月の地震個数と,プレート運動面積に対する総地震断層面積の比は,日本全域で14個0.044月分,千島海溝域で0個,日本海溝域で10個0.209月分,伊豆・小笠原海溝域で1個0.013月分,南海・琉球海溝域で3個0.009月分であった(2014年4月日本全図月別).
 日本全域の地震面積比0.044月分は,東日本大震災前の2009年11月の0.004と12月の0.017に次ぐ面積比であり,日本列島の地震活動が震災前の水準に戻ったことを示している.先月3月に活発化した南海トラフ-琉球海溝-台湾域も0.753月分から0.009月分に減衰した.
 関東地方に沈み込むフィリピン海スラブ地震は初動発震機構解(精査後)で多数捉えられている(東北日本年別).地震断層面積比は,東日本大震災の2011年に1.065とプレート相対運動面積を上回っていたが,2014年に入っても地震断層面積比0.129とプレート相対運動面積の10分の1以上であり,震災前の0.079に比較すると,1.6倍の活動度を保っている.東日本大震災時に沈み込みを再開した太平洋スラブと関東地方で接触するフィリピン海スラブに生じた異変が収まっていないことを示している.
 M6以上の地震は起こらなかった.

2.2014年5月の地震予報

 2014年4月の日本全域地震断層面積の比が0.044と,プレート運動面積の20分の1以下になり,2014年1月から10分の1以下の状態が4ヶ月も継続している.東日本大震災前でも10分の1以下が4ヶ月継続したのが5回,5ヶ月継続が2回,6ヶ月継続が1回,6ヶ月以上継続したのが6回である.この静穏化は,東日本大震災以前と比較しても異常であり,5月にこの静穏を破る活発な地震活動が再開することが心配される.関東地方におけるフィリピン海スラブの地震活動が静穏化していないことに警戒が必要である.