月刊地震予報150)2022年3月の月刊地震予報

1.2022年2月の地震活動

 気象庁が公開しているCMT解によると,2022年2月の地震個数と総地震断層面積のPlate運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で8個0.101月分,千島海溝域で1個0.003月分,日本海溝域で3個0.092月分,伊豆・小笠原海溝域で0個,南海・琉球海溝域で4個0.233月分であった(2022年2月日本全図月別).総地震断層面積規模はΣM6.2で.最大地震は琉球海溝震源帯のM5.8Pで,M6.0以上の地震はなかった.
 前月の2022年1月の地震活動は,伊豆海溝域と琉球海溝域でM6.0以上の地震3個,総地震断層面積ΣM6.3と活発であった(月刊地震予報149).注目されるのは,2021年7月以降静穏化していた日本海溝域で2022年1月に北上前弧沖震源帯M4.7(IM解5個:2022年1月東北日本IM月別)のみであったのが,2月には前弧沖震源帯で2個(IM解15個)と急増している(図462).

図462.2021年3月から2022年2月までの日本全域年間CMT解
 震央地図(左図)と海溝距離断面図(中図).
 地震断層面積変遷(右上下図):右縁の数字は2021年の月数(図422説明参照(月刊地震予報144).
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2.2022年3月の月刊地震予報

 これまで毎月,M6.0以上のCMT解があり,章を改めその解析を掲載してきたが,7ヵ月ぶりにM6.0以上がなかった.ただし,琉球海溝域では最大地震M5.8が起こっており,沖縄海盆拡大期の次に予想される琉球海溝震源帯のM7.0以上の大地震を待つ状態にある(月刊地震予報144)ので,沖縄海盆拡大および関連して活動した熊本地震(速報予報79)のような地震についても警戒が必要である.
 日本海溝域では,東北日本に被害をもたらした2021年2月13日前弧沖震源帯M7.3の余震活動も2021年7月に収まり,静穏化していたが,2022年2月に同じ前弧沖震源帯で活発化が認められた.静穏化している間の太平洋Plate運動面積はM7.0以上に達していることから警戒が必要である.