東日本巨大地震の前震・本震・余震の震央を記入した赤色立体地図

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2011年3月11日午後2時46分、東日本巨大地震発生。

大地震に伴う津波は、海難災害です。救命胴衣を着けていれば
犠牲者数を大幅に減らすことができます(月刊地震予報97)。
津波対策では何より先に救命胴衣の準備を。

月刊地震予報141)2021年5月の北上前弧沖震源帯M6.8と阿武隈前弧沖震源帯M6.0,2021年6月の月刊地震予報

1.2021年5月の地震活動

 気象庁が公開しているCMT解によると,2021年5月の地震個数と総地震断層面積のPlate運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で16個0.612月分,千島海溝域で1個0.149月分,日本海溝域で9個3.664月分,伊豆・小笠原海溝域で3個0.077月分,南海・琉球海溝域で3個0.066月分であった(2021年5月日本全図月別).日本全域総地震断層面積比は2021年1月の0.085月分から,2021年2月の1.786月分への急増の後,3月には0.647月分,4月に0.045月分に静穏化したが,5月に0.612月分へ活発化した.
 2021年5月の最大CMT解は日本海溝域の前弧沖震源帯(月刊地震予報138)2021年5月1日北上沖M6.8である.日本全域のCMT総地震断層面積規模はΣM7.0で,M6.0以上の地震には前弧沖震源帯5月14日阿武隈沖M6.3と5月16日十勝沖M6.1が加わった(図410).

図410.2021年5月のM6.0以上の地震の震度分布(気象庁HPより).
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2.2021年5月1日の北上前弧沖震源帯M6.8と5月14日の阿武隈前弧沖震源帯M6.0 

 東北日本弧の太平洋沿岸には日本海溝に並行して前弧震源帯(月刊地震予報139)と前弧沖震源帯が分布する.日本海溝に沿って沈込む太平洋Slabは,東北日本弧最強の上部Mantleに押し沈められて同心円状に屈曲(速報6)した後に平面化(速報7速報18)する.東北日本弧の上部Mantleが太平洋Slabを屈曲させる衝突に伴い前弧沖震源帯の地震が発生し,平面化に伴い前弧震源帯の地震が発生する.
 2020年6月から2021年5月までの1年間に前弧震源帯・前弧沖震源帯ではCMT解29個が報告されており,その総地震断層面積規模はΣM7.5で日本海溝域のPlate運動面積に対する比は1.38である(図411).

図411.2020年6月から2021年5月までの前弧震源帯・前弧沖震源帯のCMT解発震機構.
 数字とM:発生年月日と規模.
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 2020年6月から2021年5月のM6.0以上のCMT解は;
   2021年5月14日M6.3p 前弧沖帯
   2021年5月1日M6.8p 前弧沖帯 
   2021年3月20日M6.9p 前弧帯(月刊地震予報139
   2021年2月13日M7.3p 前弧沖帯(月刊地震予報138
   2020年12月21日M6.5P 前弧沖帯(月刊地震予報136
   2020年9月12日M6.2P 前弧沖帯(月刊地震予報133
の6個であり,地震断層面積規模曲線areaM(月刊地震予報107月刊地震予報116)が増大する嶺と地震断層面積積算曲線Benioff(特報5,)が急増する段差(図411右中の時系列図左端)として表れ,最大CMTの2021年2月の段差が顕著である.

 前弧震源帯・前弧沖震源帯における1994年以降の全CMT解は796個,総地震断層面積規模はΣM8.2でPlate運動面積に対する比が0.37であることは,2020年6月から2021年5月の比1.38が如何に大きいかを示している(図412).

図412.1994年以降の前弧震源帯・前弧沖震源帯のCMT解発震機構.
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 1922年以降の前弧震源帯・前弧沖震源帯における過去100年の全観測地震総地震断層面積はΣM8.6で(図413)Plate運動面積に対する比は0.26と更に小さくなる.

図413,1922年以降の前弧震源帯・前弧沖震源帯の観測震源.
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 1922年以降のM7.3以上の前弧震源帯・前弧沖震源帯観測地震は(図414);
   2021年2月13日M7.3p 前弧沖帯
   2016年11月22日M7.4-t 前弧沖帯
   2011年3月11日M7.6p 前弧沖帯
   1978年6月12日M7.4 前弧沖帯
   1938年11月5日M7.3 前弧沖帯
   1936年11月3日M7.4 前弧沖帯
の6個で,最大は2011年3月11日東北沖平成巨大地震29分後のM7.6であるが, 2021年2月13日M7.3を含む5月までの1年間の総地震断層規模ΣM7.5は顕著な活動と言える.

図414.1922年以降のM7.3以上の前弧震源帯・前弧沖震源帯観測震源.
 数字とM:発生年月日と規模.
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 過去100年間における活動で,この1年間の活動に匹敵するのは1936-1938年である(図414).この活動は1933年昭和三陸地震M8.1と1946年昭和南海地震M8.0・1952年十勝沖地震M8.2・1952年KamchatkaM8.2の間に起こっている(図415).

図415.1922年以降に日本全域で起こったM8.0以上の巨大地震.
 数字とM:発生年月日と規模.

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3.2021年6月の月刊地震予報

 日本海溝域の前弧震源帯と前弧沖震源帯の活動は,1936-1938年の活動に匹敵し(図414)警戒が必要である.1936-1938年は1933年昭和三陸地震と1946年昭和南海地震や1952年十勝沖地震・Kamchatka地震の間に位置することから(図415),南海Troughや日本海溝域・千島海溝域の巨大地震の準備段階にあることも考えられ,今後の地震活動の推移を見守る必要がある.

月刊地震予報140)2021年5月の月刊地震予報

1.2021年4月の地震活動

 気象庁が公開しているCMT解によると,2021年4月の地震個数と総地震断層面積のPlate運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で10個0.045月分,千島海溝域で0個,日本海溝域で4個0.198月分,伊豆・小笠原海溝域で1個0.006月分,南海・琉球海溝域で5個0.045月分であった(2021年4月日本全図月別).日本全域総地震断層面積比は2021年1月の0.1割以下から,2021年2月の1.8月分への急増の後,3月には7割以下に減じ,4月に0.1割以下に静穏化した.
 最大は日本海溝域の2021年4月18日北上前弧沖震源帯M5.8である.日本全域のCMT総地震断層面積規模はM6.0で,M6.0以上の地震は無かった.

2.2021年5月の月刊地震予報

 東北地方に最大震度6強の阿武隈前弧沖震源帯2021年2月13日M7.3(月刊地震予報138)に続き,2021年3月20日に北上前弧震源帯M6.9の最大震度5強が襲い(月刊地震予報139).4月18日にも北上前弧沖震源帯でM5.8が起っている.日本海溝域の初動IS解は,2021年1月に30個,2月に73個,3月に66個あったが, 4月にも1月より多い41個あった.今年の4月までのIS解総計は220個になり,昨年2020年の総計233個に迫る勢いであり,日本海溝域の地震活動に警戒が必要である.

月刊地震予報139)同心円状屈曲Slab平面化による北上前弧震源帯M6.9,琉球海溝平面化震源帯M6.2,2021年4月の月刊地震予報

1.2021年3月の地震活動

 気象庁が公開しているCMT解によると,2021年3月の地震個数と総地震断層面積のPlate運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で11個0.647月分,千島海溝域で2個0.088月分,日本海溝域で7個3.691月分,伊豆・小笠原海溝域で1個0.098月分,南海・琉球海溝域で1個0.220月分であった(2021年3月日本全図月別).日本全域総地震断層面積比は2021年1月の0.1割以下から,2021年2月の1.8月分への急増の後,3月には7割以下に減じている.
 最大は日本海溝域の2021年3月20日北上前弧震源帯M6.9である.日本全域のCMT総地震断層面積規模はM7.0で,M6.0以上の地震は他に2021年3月27日琉球海溝平面化震源帯M6.2がある.

2.2021年3月20日北上前弧震源帯M6.9p

 2021年3月20日18時04分に日本海溝域の前弧震源帯北上震源域でM6.9p深度59km(Slab深度+3km)が発生した(図398).今回の地震M6.9は,前弧震源帯の最大CMT解2003年5月26日北上震源域M7.1P震度72(+13)km以来18年ぶりの大地震であり,地震断層面積規模移動平均曲線areaMと積算地震断層面積曲線Benioff(図398左中時系列図左端)の2つの大きな峰と段差として示されている.
 今回の震源は最大CMT解の南方39kmに位置し,両CMTの圧縮P主歪軸方位は太平洋PlateのAmur Plateに対する相対運動Euler緯線(図398左震央地図の斜線)に並行するPlate運動方位と一致している.
 縦断面図(図398右上図)に赤色線で示した今回の震源付近のCMT深度は狭い範囲に収まっている.今回の震源付近のCMT解地震は2011年3月11日東北沖平成巨大地震(図398右中図横線)以後,時系列図(図398右中図)に6個縦に並んでおり,繰返し震源(松澤,2011)をなしている.その最大CMTが今回の地震である.

図398.日本海溝域の前弧震源帯CMT解の歪軸方位.
 左図:震央地図.斜め線は太平洋PlateのAmur Plateに対する相対運動Euler緯線.
 数字とM:地震発生年月と規模.

 今回の地震の最大震度は5+で,震度分布は北海道から伊豆諸島そして本州伊勢湾にまで及んでいる(図399).前弧震源帯最大のCMT解は2003年5月26日北上震源域M7.1であり,最大震度は6-で,震度分布は北海道から伊豆諸島そして伊勢湾までと本地震M6.9と変わらない(図400).

図399.前弧震源帯の2021年3月20日北上隈震源域M6.9の震度分布(気象庁HPより).
赤色×印が震央.四角印中の数字(1から5+)が震度.
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図400.前弧震源帯の2003年5月26日北上隈震源域M7.1の震度分布(気象庁HPより).
赤色×印が震央.四角印中の数字(1から6-)が震度.
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 前弧震源帯は,太平洋Slabが日本海溝から同心円状屈曲して沈込む際に伸張したSlab上層が平面化の際に圧縮されて発生する震源帯で,東北日本の太平洋沿岸に沿って分布するため多数のIS解も公表されている(図401).IS解に今回の地震や最大CMT解地震をはじめM4以上の地震断層面積の大きな地震が重複しているのでareaM曲線・Benioff曲線はCMT解(図398の右中図)と大勢は変わらず2つの大きな峰と段差からなる(図401右中時系列図左端).

図401.日本海溝域の前弧震源帯IS解の歪軸方位.
 数字とM:地震発生年月と規模.

 縦断面図(図401右上図)の今回の震源(202103M6.9)赤色線下方延長の時系列図(図401右中図)にはCMT解の繰返し地震(図398)も示されている.そのすぐ右側に2016年から現在まで短間隔で震源が並んでいる.この繰返し地震は東北沖巨大地震前にも長い間隔で並んでいる.さらに右の最大地震(200305M7.1)の桃色線下方には,最大地震によって左右に幅を広げた余震が次第に幅を狭め左右に揺れつつ2016年まで続いている.
 これら前弧震源帯IS解歪軸方位を最大地震2003年5月M7.1を基準として歪軸入替解析(月刊地震予報87)を行うと,今回の地震の歪方位は最大地震と67.9°異なるが,最大地震の圧縮P軸・引張T軸・中間N軸を入替えた歪方位と比較すると,P軸とT軸を入替えた場合が28°と最小になった(図402凡例のPexT赤色表示).P軸とT軸の入替は歪を反転させることを意味し,今回の地震と最大地震の間には歪場が逆転する境界面が存在することを意味する.縦断面図(図402右上図)では,今回の地震域の深度は最大地震域より浅くくびれている.この震源分布のくびれは歪場の逆転境界面と対応しているであろう.今回の地震域の東北沖巨大地震以後の繰返し地震も逆転歪場で起っており,すぐ右側の短間隔繰返地震域まで逆転歪場である.最大地震域の地震は歪軸入替無しで25°以内(黒色表示)や25°以上でも歪軸入替無しの差が小さい(紫色表示)場合が主体をなすが,東北沖平成巨大地震後には逆転歪場の地震も認められる.

図402.日本海溝域の前弧震源帯の歪反転
基準歪方位(黒色表示):2003年5月最大地震M7.1.
数字とM:地震発生年月と規模.

3. 2021年3月27日琉球海溝平面化震源帯M6.2np

 2021年3月27日7時02分に琉球海溝域八重山小円区の琉球海溝平面化震源帯でM6.2np深度152kmが沖縄Trough下に沈込むPhilippine海Slab内(Slab深度+31km)で起った(図403).2021年に入ってから本震源の南西方85kmで2021年1月11日M4.9-np深度157(+57)km・南西方118kmで1月15日M4.5-np深度128(+54)kmが起っている(図403).

図403.琉球海溝域の琉球海溝平面化震源帯CMT解主歪軸方位.
 数字とM:発生年月日と規模.

 本地震では,八重山諸島から奄美大島までの琉球列島で震度1以上が観測されるとともに,琉球海溝外側の南大東島でも震度1が観測されている(図404).

図404.琉球海溝平面化震源帯の2021年3月27日M6.2の震度分布(気象庁HPより).
赤色×印が震央.四角印中の数字(1から2)が震度.
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 琉球海溝平面化震源帯の最大CMT解は2011年11月08日M7.0深度217km(+48km)であり,最大震度は4で震度1以上は琉球列島から四国に達している(図405).

図405.琉球海溝平面化震源帯の最大CMT解2011年11月08日M7.0の震度分布(気象庁HPより).
赤色×印が震央.四角印中の数字(1から4)が震度.
 震度1以上は琉球列島から四国まで分布している.
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 平面化するSlabが琉球海溝から同心円状屈曲して沈込む琉球海溝屈曲震源帯の最大CMT解は八重山小円区の2001年12月18日M7.3深度8(-6)kmであるが震度分布は震源近くの八重山諸島のみ限られる.琉球小円区の屈曲震源帯最大CMT解2010年2月27日M7.2では,震度分布が琉球列島から九州そして海溝外の南大東島にもおよんでいる(図406).

図406.琉球小円区の琉球海溝屈曲震源帯の最大CMT2010年2月27日M7.2の震度分布(気象庁HPより).
赤色×印が震央.四角印中の数字(1-5-)が震度.
 震度分布は琉球列島から九州に達し,海溝外の南大東島でも震度4である.
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 琉球海溝域のCMT解は814個あり,総地震断層面積規模はM8.4に達する(図407).発震機構はBenioff図(図402右中図左端)において逆断層型(赤色)・横擦断層型(緑色)・正断層型(灰色)で1999年9月2日台湾震源帯の集集地震M7.7+p以降活発化し,直線的にその幅を増している.この直線的増大は,Plate運動によって増大する歪を海溝域全域で相補的に解放していることを示している.

図407. 琉球海溝域のCMT発震機構主歪軸方位図.

 広域の歪状態を表わす非双偶力成分比(図408)も-12%の圧縮過剰(桃色)から+12%の引張過剰(青色)まで広範におよぶが,時系列図のBenioff図(図408右中図左端)の±12%と±5%の区分境界線が直線的に右上を向いており,いずれの非双偶力成分比の地震断層面積も1999年以降,均等に増大していることを示しており,広域歪もPlate運動による歪を解放していることを示している.非双偶力成分が正の場合(青色)は引張T軸方位,負の場合(桃色)は圧縮P軸方位で線の長さは非双偶力成分比に比例し,非双偶力成分方位はEuler緯度線に沿っており(図408左震央地図),歪方位図(図408右下図)の中央横直線付近のPlate運動方位線(紫色折線Sub)に沿うものと,方位が180°異なり逆傾斜の方位図上下端に集中している.

図408. 琉球海溝域のCMT解非双偶力成分方位図.
 震央地図(左図):斜曲線はPhilippine海Plateの南華Plateに対する相対運動方向に沿うEuler緯度線.
 

 1999年以降,Plate運動による歪が相補的一様に総地震断層面積M8.4によって解放されている琉球海溝域内には,CMT219個・地震断層面積規模M7.3の琉球海溝屈曲震源帯,42個・M7.3の琉球海溝平面化震源帯,154個・M7.1の沖縄海盆震源帯の3つの主要震源帯がある.この3主要震源帯にはM7級地震による大きな段差がBenioff図に示されており,地震面積が一律に増大していないことは明らかである(図409左3列).これら3震源帯をまとめた時系列図(図409左から4列目)ではM7級地震が交互に起っているために琉球海溝域全域(図409左端)と類似した地震断層面積の一律な増大となっている.各震源帯のM7級地震はそれぞれ2回あり,琉球海溝屈曲震源から琉球海溝平面化震源帯そして沖縄海盆震源帯へ移行している.
 沖縄海溝域は,時間とともに増大する歪をSlabの沈込と背弧海盆拡大を一つの系として歪を循環させながら地震として解放していると言える.この系の南には衝突境界としての台湾,北には九州そして本州が接している.

図409..琉球海溝域CMT解の発震機構別時系列比較.
 右端:琉球海溝域全域のほぼ一律に増大する地震断層面積(図403の右中図左端)
 左3列:沖縄海盆震源帯・琉球海溝平面化震源帯・琉球海溝屈曲震源帯.
 左から4列目:沖縄海盆震源帯・琉球海溝平面化震源帯・琉球海溝屈曲震源帯の総計.

4.2021年4月の月刊地震予報

 東北地方に最大震度6強の阿武隈前弧沖震源帯2021年2月13日M7.3に続き,2021年3月20日に北上前弧震源帯M6.9の最大震度5強が襲った.2月の前弧沖震源帯では東北日本弧の筋金に当るMoho面直下のMantleと太平洋Slabが衝突しているのに対し,3月の前弧震源帯では太平洋Slabが接しているMantleでは地震が起っておらず,地震動も伝達し難いのであろう.前弧震源帯最大の2003年5月M7.1でも最大震度はM6弱であった.
 気象庁の発表ではこれらの地震を単に福島県沖や宮城県沖としているが,歪を蓄積させる太平洋Slabとの関係を考慮した区分のもとに発表されることが望まれる.これらの区分が地震予報や対策に必要である.また,同じ前弧震源帯の中にも歪の逆転する境界面の存在が判明した.この境界面が東北沖平成巨大地震などとどのように変動したかは地震予報を実現するための基礎となるであろう.
 琉球海溝域では地震断層面積がほぼ一定の速度で開放されているように見えるが,沈込Slabや背弧海盆で相互に歪を伝達させて開放していることが判明した.歪の伝達と大地震の兆候を検知できれば地震予報に貢献するであろう.

引用文献

松澤 暢(2011) なぜ東北日本沈み込み帯でM9の地震が発生しえたのか?―われわれはどこで間違えたのか?―.科学,81,1020-1026.