速報73)2015年11月の地震予報-静穏なれどプレート枠組み地震

1.2015年10月の地震活動

 気象庁が公開しているCMT解を解析した結果,2015年10月の地震個数と総地震断層面積のプレート運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で14個0.068月分,千島海溝域で1個0.002月分,日本海溝域で8個0.113月分,伊豆・小笠原海溝域で2個0.191月分,南海・琉球海溝域で3個0.054月分であった(2015年10月日本全図月別).日本全域の面積比が0.068と15分の1月分しか起こっていない.この面積比は2011年の東日本大震災以後の最少記録である2014年4月の0.044に次ぐものであり,2014年9月の0.068と同率2位である.M6.0以上の地震は起こっていない(図169).

図169.2015年10月の日本全域CMT解の主応力軸方位図・ベニオフ図・地震断層面積対数移動平均図.  ベニオフ図(右上)の各海溝域の幅は1ヶ月間のプレート運動面積であり,黒色斜線がプレート運動の積算面積,赤色曲線が地震断層積算面積.左端のTotalは各海溝域合計の4分の1(特報5).  対数移動平均図(右下)の横軸は地震断層面積(km2)の対数(速報68).  右図右端の数値は2015年10月の日付.

図169.2015年10月の日本全域CMT解の主応力軸方位図・ベニオフ図・地震断層面積対数移動平均図.
 ベニオフ図(右上)の各海溝域の幅は1ヶ月間のプレート運動面積であり,黒色斜線がプレート運動の積算面積,赤色曲線が地震断層積算面積.左端のTotalは各海溝域合計の4分の1(特報5).
 対数移動平均図(右下)の横軸は地震断層面積(km2)の対数(速報68).
 右図右端の数値は2015年10月の日付.

2.2015年11月の地震予報

2015年5月30日の下部マントル地震によって伊豆スラブ南端の崩落が進行している中で地震活動は極めて静穏であったが,小笠原・紀伊半島・敦賀湾の太平洋スラブで深発地震,日本海溝域ではスラブ平面化地震,そして秋田沖の北米プレート境界,九州西部の沖縄トラフ北東部,台湾とプレート枠組みに関係する地震が起こっており,警戒が必要である.