月刊地震予報88)2017年2月の月刊地震予報

1.2017年1月の地震活動

 気象庁が公開しているCMT解を解析した結果,2017年1月の地震個数と総地震断層面積のプレート運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で10個0.054月分,千島海溝域で0個,日本海溝域で9個0.337月分,伊豆・小笠原海溝域で1個0.026月分,南海・琉球海溝域で0個であった(2017年1月日本全図月別).
2017年1月の最大地震は1月5日福島県沖M5.6T26kmで,M6以上の地震はなかった.

2.2017年2月の月刊地震予報

2016年12月28日に茨城県側の浜通で起こったM6.3tr11km(月刊地震予報87)の後,M3.2~3.9の初動発震機構解7個が,2016年12月29~31日・2017年1月1日・5日・29日・31日に報告されている.2016年12月28日M6.3を基準にしたこれらの主応力軸オイラー回転角は8.3~61.4°である.53°以上の地震についてはT・N主応力軸入替で35~41°になり,応力場の逆転に到っていない.しかし,年が明けて地震間隔が拡大したことから一連の地震活動は終息に向かったと考えられる.
2010年6月以前の日本全域CMT個数は,10個以下が普通であったが以後増大して東日本大震災に到り,再び10個以下が記録されたのは2015年12月の5個であった.2017年1月の10個は,それ以後の最低記録である.2017年1月の最低個数の中でも,南海トラフ・琉球海溝・台湾域の 0個は,2012年11月以来の最低記録である.2012年11月の0個記録の後に,2013年3月に台湾・4月に台湾・淡路(速報41)・6月に台湾(速報43,)が起こっていることから,フィリッピン海プレート沈込域である関東・西南日本・琉球・台湾の地震活動に警戒が必要である.
房総三重会合点で2016年9月23日にM6.7pe32kmが起こったが,その規模は,関東地方の飯岡2005年4月11日M6.1P52km・千葉2005年7月23日M6.0P75kmの前に起こった三重会合点域最大の2005年1月19日M6.8po31kmに次いでおり(月刊地震予報84,),厳重な警戒が必要である.