月刊地震予報91)2017年5月の月刊地震予報

1.2017年4月の地震活動

 気象庁が公開しているCMT解を解析した結果,2017年4月の地震個数と総地震断層面積のプレート運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で15個0.077月分,千島海溝域で3個0.054,日本海溝域で4個0.136月分,伊豆・小笠原海溝域で1個0.020月分,南海・琉球海溝域で7個0.096月分であった(2017年4月日本全図月別).
2017年4月の最大地震は4月29日琉球海溝域M5.6t44kmで,M6以上の地震はなかった.

2.2017年5月の月刊地震予報

2017年4月の日本全域CMT個数は15個と先月2017年3月の21個から減少し,地震断層面積のプレート運動面積に対する比は0.077と先月の0.070より増加したものの,1割以下が4か月続いている.4か月連続で1割以下を記録したのは,東日本大震災前の1995年・1997年・2003年・2004年内に夫々1度の計4回のみで,嵐の前の静けさがどれだけ続くか警戒が必要である.
南海トラフ・琉球海溝・台湾域の地震断層面積比は2017年4月が0.098と増加したが,2016年10月の鳥取県中部地震以後,6か月連続して0.1以下を記録している.フィリッピン海プレート沈込域である関東・西南日本・琉球・台湾の地震活動に継続して警戒が必要である.2017年4月30日台湾南東沖のM5.4Pro142kmは,ルソン海溝の北方延長部のバシー海峡から南シナ海盆底が東方に沈込だスラブ内で起こっている.このような逆向沈込による地震は2014年2月3日M5.0-tro0km(速報52)と2014年11月21日M5.5-tro0kmの2個が起こっている.2014年の地震後,琉球海溝・南海トラフ域で地震活動が2016年始めまで活発化し,その後静穏化している.2014年の地震は沈込境界のスラブ表面で起こったものだが,今回は深度142kmとスラブ深部で起きた.どのような地震活動に発展するか不明であるが,警戒が必要である.
千島海溝域では,2016年10月の1個0.155以降,4か月間0.003以下であったが,2017年3月に4個0.022と活動を再開し警戒を呼び掛けていた.2017年4月には3個0.054と面積比が増大しているので警戒が必要である.
房総三重会合点の2016年9月23日M6.7pe32kmに関連し,関東域のM6以上の地震に警戒を呼掛けているが(月刊地震予報88),引き続き警戒が必要である.