速報70)2015年8月の地震予報

1.2015年7月の地震活動

 気象庁が公開しているCMT解を解析した結果,2015年7月の地震個数と総地震断層面積のプレート運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で22個0.187月分,千島海溝域で1個0.355月分,日本海溝域で14個0.271月分,伊豆・小笠原海溝域で2個0.028月分,南海・琉球海溝域で5個0.072月分であった(2015年7月日本全図月別).
日本全域の面積比が0.187と数分の1月分の地震しか起こっていない.その中でも琉球海溝・南海トラフ域は0.072と2015年5月から10分の1以下が続いている.
M6.0以上の地震は,2015年7月7日千島海溝域色丹島沖M6.3+p深度1kmが1個起こっている.この地震は,最も多く地震が起こっている日本海溝域(B:Japan)で地震活動が途絶えた期間に起こっている(図162).

図162.2015年7月の日本全域CMT解の主応力方位図・ベニオフ図・地震断層面積対数移動平均図.  ベニオフ図(右上)の各海溝域の幅は1ヶ月間のプレート運動面積であり,黒色斜線がプレート運動の積算面積,赤色曲線が地震断層積算面積.左端のTotalは各海溝域合計の4分の1(特報5).  対数移動平均図(右下)の横軸は地震断層面積(km2)の対数(速報68).  右図右端の数値は2015年7月の日付.

図162.2015年7月の日本全域CMT解の主応力方位図・ベニオフ図・地震断層面積対数移動平均図.
 ベニオフ図(右上)の各海溝域の幅は1ヶ月間のプレート運動面積であり,黒色斜線がプレート運動の積算面積,赤色曲線が地震断層積算面積.左端のTotalは各海溝域合計の4分の1(特報5).
 対数移動平均図(右下)の横軸は地震断層面積(km2)の対数(速報68).
 右図右端の数値は2015年7月の日付.

2.2015年8月の地震予報:

伊豆スラブ南端の下部マントルへの崩落(速報68)が進行している中で地震活動は静穏であり,異常歪集積も懸念される.特に,フィリピン海プレート沈み込み境界に沿う南海トラフ・琉球海溝・台湾域の地震活動が極めて少なく,警戒が必要である.