速報46)2013年10月の地震予報

1.2013年9月の地震活動

 2013年9月の地震数と総地震面積比は,日本全域で15個0.569月分,千島海溝域で0個,日本海溝域で8個0.057月分,伊豆・小笠原海溝域で3個3.356月分,南海・琉球海溝域で4個0.015月分であった(2013年9月日本全図).日本全域で0.569月分は,7月の0.136月分・8月の0.144月分の静穏状態から増加に転じている.この増大は,伊豆海溝域の太平洋スラブ内で9月4日に起ったM6.8深度445kmによっている.伊豆マリアナ海溝域では,5月14日,同心円状屈曲したまま上部マントル底に到達している太平洋スラブ内でM7.3深度619kmが起ったが(速報45),今回の伊豆海溝域の地震も同心円状屈曲したままのスラブ内で起っている.
日本海溝域の地震面積比0.057月分は,東日本大震災前の2010年11月0.034月分に次ぐ静穏さである.ただし,地震個数は8個と多く,三陸沖の屈曲スラブの平面化地震,北海道西方沖のスラブ上面の地震と太平洋スラブ沈み込みに関係する地震が起こっている.また,今年に入って活発化している浜通でもCMT震源解地震が起っている(2013年9月東日本).
 浜通では2013年1月から4月まで1-2個であった自動発震機構解の地震数が,5月に7個,6月5個,7月7個,8月7個,9月9個と増大しており,周辺部でも地震活動が活発化している(2013年9月東日本IS).

2.2013年10月の地震予報

 伊豆・マリアナ海溝域と三陸沖・北海道西方沖の太平洋スラブ地震は,太平洋スラブ沈み込みの活性化を示している.日本列島において阿武隈山地と北上山地はアイソスタシー(重力均衡)に反して隆起しているが,その駆動力として太平洋スラブ沈み込みに伴う日本列島下でのマントル衝突が考えられる.東日本大震災後の2011年4月11日に起った浜通地震M7.1や2008年6月の宮城・岩手県境地震M7.2はこのマントル衝突に関連する活動であろう.活発化している浜通周辺の地震活動が日本列島下のマントル衝突の活発化と関連していれば,1896年6月15日明治三陸津波地震M8.3の4年後に起った1900年5月12日の宮城県北部地震M7.0の再来も予想されるので,警戒が必要である.