速報17)2011年10月の地震予報
2011年10月14日 発行
8月25日に鹿島沖の太平洋プレート底に初動震源(深度99km)を持つM4.7の地震が起こり,1933年昭和三陸津波地震の時と同じような太平洋プレートが日本海溝の東側の外縁隆起帯で切断する外縁隆起帯(マージナルスウェル)型地震の発生が心配された.しかしその後起こった太平洋プレート内の正断層型地震は,10月2日M4.7(深度53km)のみであり(図24),差し迫った危機は無さそうであるが,引き続き警戒が必要である.
明治三陸地震M8.5の後の宮城県沖地震M7.2に対応する地震の年内再来が心配される.この地震は,太平洋プレートと前弧域の地殻との境界で起こった東日本巨大地震とは異なり,日本列島下から上昇してくるマントルと太平洋プレート上のマントルの衝突によって起こると考えられる.
このマントル流によって支配されている地震には,福島県南部から茨城県北部にかけて3月19日以来起こっている浜通の正断層型地震がある.この地域では,4月7日宮城県沖地震M7.1の直後の4月11日にM7.0が起こっていることからも両者の関連が窺われる.
浜通では,M4以下の地震がその後も継続して起こってきたがCMT解が報告されるM4以上の地震は4月中旬から減少し,5月4回,6月1回,7月1回であった.しかし,8月4回と増加し,9月にはM5以上が3回と増加していることから(図24),宮城県沖地震の再来に警戒が必要である.
10月に入り.10月3日から横ずれ断層型地震が飛騨山地で連発していることは(図25),日本列島の地震活動の様相が変化していることを示している.明治三陸津波地震後に起こった宮城県北部地震の再来も懸念されているので,今後の地震活動の推移に注意が必要である.