速報10)太陽光発電の偉力

我が家の経験から

東日本大震災で停電が続いた時に大いに役立ったのが,2010年4月に設置した太陽光発電であった.設置した太陽光発電パネル(160cm×80cm)はサンテック製24枚で,最大発電能力は4.5kwとされているが,瞬間最大出力実績は5.6kwである.価格は308万円で,国から補助金が約32万円交付された(図10).

図10. 我が家に設置した太陽光発電パネル

6月6日現在で総発電量は6494kwh,消費電力量が6398kwhで102%の自給率である.電力会社への売電量が4308kwh,買電量4212kwhだが,kwh当たりの売電価格が48円で買電価格が24円なので,差し引き10万円以上の収入を得ていることになる.この収入に総消費電力代金153552円を加えれば25万円の実質利益を得たことになり,屋根の破損などがなければ,約10年で設置費用の減価償却が可能である. パネルの保証期間は25年.

発電量は天候に左右されるが,台風2号崩れの低気圧通過によって一日中大雨が降り全く日の射さなかった6月2日でさえも,発電量は8.7kwhで消費電力13,0kwhの67%を賄った.4.6kwhを売電し8.9kwhを買電したので,7円の収入になっており, 15-25%程度の節電は,太陽光発電パネルを設置することによって容易に達成可能であることが分かった.

原発1基の発電量をまかなう太陽光発電施設のコスト

原子力発電所事故の放射性物質汚染によって,半径30km以内の立ち入り禁止が検討されているが,半径30km円の面積は2827km2である.我が家の太陽光発電パネルは30.72m2で4.5kwを発電しているので,原子力発電所の標準的出力100万kwを発電するには6.827km2,半径1.47kmの面積が必要である.福島第一原子力発電所事故で立ち入り禁止となる半径30kmの範囲の陸域約1400km2に太陽光発電パネルを敷き詰めると出力100万kwの原子力発電所205基分の発電能力を持つ. 14か月間(10080時間)の我が家の総発電量6494kwhから算出される全日平均発電実績は1.55kwとなり,最大出力4.5kwの3分の1であることを考慮しても原子力発電所68基分の6800万kwの総発電量をまかなうことができる.この発電量はこれまで増設を計画していた原子力発電所を加えた総原子力発電量を超える.我が家の購入価格で費用を算出すれば100万kw当たり1兆7700億円である.この太陽光発電パネルの年間総発電量は88億kwhであり,kwh当たり48円で売電すれば,年間約4205億円の収入を得ることができ,4年で設置費用の回収が可能である.電力会社からの買電価格24円でもその倍の8年で回収することができる.

太陽光発電への転換を

仙台での1年間の実績から,個別住宅が主体を占める日本では,各家庭に太陽光発電パネルを設置することにより計画停電には十分対応できると言える.銀行が太陽光発電パネル設置のための融資を行い,政府が利子保証あるいは補助金を出せば,電力売上金によって確実に返済することができる.政府はただちに太陽光発電のための金融政策を開始すべきである.報道によるとカリフォルニア州では,太陽光発電パネル設置に銀行が融資をして利益を上げているそうである.わが国の場合.唯一の問題は太陽光発電パネルの生産供給が需要を賄えるかどうかであろう.

原子力発電所事故による半径30km以内の立ち入り禁止処置と膨大な復旧費を目の当たりにし,将来の廃棄物処理費用や廃炉費用を考えると,電力は現在確立されている太陽光発電によって十分対抗できることが分かった.直ちに原子力発電から太陽光発電への転換を開始すべきである.原子力発電所を設置する上で,地質学的に見て地球上で最も危険な静岡県浜岡地域と福井県敦賀地域の自治体は,電力会社・国・県からの補助金を将来の危険に対処する意味でも,太陽光発電体制確立のために使用すべきであると考える.