東日本巨大地震の前震・本震・余震の震央を記入した赤色立体地図

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2011年3月11日午後2時46分、東日本巨大地震発生。

大地震に伴う津波は、海難災害です。救命胴衣を着けていれば
犠牲者数を大幅に減らすことができます(月刊地震予報97)。
津波対策では何より先に救命胴衣の準備を。

月刊地震予報127)Kamchatka沖千島海溝の同心円状屈曲地震M7.5,2020年4月の月刊地震予報

1.2020年3月の地震活動

気象庁が公開しているCMT解によると,2020年3月の地震個数と総地震断層面積のPlate運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で9個3.117月分,千島海溝域で2個8.786月分,日本海溝域で3個0.047月分,伊豆・小笠原海溝域で1個0.009月分,南海・琉球海溝域で3個0.074月分であった(2020年3月日本全図月別).日本全域総地震断層比が2019年9月から1割以下へ急減し,1割前後の異常静穏化が5ヶ月継続したが(月刊地震予報125),2020年2月の千島海溝域の4ヶ月分によって停止した(月刊地震予報126).2020年3月は千島海溝域の9ヶ月分によって更に3ヶ月分を越した.ただし,千島海溝域以外では1割以下の異常静穏化が継続している.
最大地震は2020年3月25日のKamchatka沖の千島海溝M7.5Pで,他にM6.0以上の地震は無かった.

2.Kamchatka沖千島海溝の同心円状屈曲地震M7.5

 2020年3月25日11時49分, Kamchatka沖千島海溝軸部の深度77km(Slab深度+43)M7.5Pが起った.圧縮主歪P軸方位(丸印)はPlate運動方位(方位図中央付近の紫色斜線Sub)とほぼ一致しており,太平洋Plate運動による同心円状屈曲に対応している(図361).

図361.千島海溝域の2020年1月から3月までのCMT解.
 左:海溝距離断面図・震央地図.右上:縦断面図,右中:時系列図,右下:主歪軸方位図. 英数字:月日・規模・発震機構型.Clickすると拡大します.

千島海溝域のM7.0以上の地震は,7年ぶりに先月2020年2月13日択捉島沖で正断層型地震M7.2tが深度155(Slab深度+79)kmで起った(月刊地震予報126).今月2020年3月7日にもM7.2の震源から南西(236°)方106kmの択捉島沖深度151(+73)kmでM4.7Tの正断層型地震が起っている.この2つの正断層型地震の主歪軸偏位角(速報29)は23°と小さく,海溝に沿う同心円状屈曲に伴い圧縮した太平洋Slab深部が平面化によって伸張していることを示している.
平面化による正断層型地震は,先々月の2020年1月15日に根室沖深度91(+66)kmでM4.8tが起こっており,次いで2020年1月28日に根室沖深度96(+30)kmで逆断層型地震M5.5pが起っている(図361).逆断層型のSlab深度が30kmと,正断層型の66kmよりも浅い.同心円状屈曲に伴いSlab深部は圧縮され,平面化によって伸張するが,Slab表層は逆に同心円状屈曲に伴い伸張して平面化によって圧縮することSlab深度の差が良く対応している.従って,同心円状屈曲と平面化に伴う圧縮と伸張の境界Slab深度は30kmと66kmの間に位置するのであろう.
今回のKamchatka 沖のM7.5のSlab深度40kmは境界Slab深度付近であり,Slab深部の同心円状屈曲に伴う逆断層型なのか,太平洋Plate押がSlab引張りを上回っての逆断層型である.2020年1月以降の平面化地震の発生は平面化の進行を示しており,平面化はSlab沈込の障害を減少させて海溝軸付近のSlabに引張力を及ぼすと考えられるので,今回のM7.5の逆断層型はSlab深層の同心円状屈曲による圧縮によるであろう.
東日本巨大地震の際に,日本海溝域ではSlabが50m沈込むと共に平面化も起ったが,千島海溝域の海溝軸付近の沈込や平面化が進行しなかったので,今年に入り平面化と海溝軸部の沈込が進行しているのであろう.

3.2020年4月の月刊地震予報

 千島海溝域で2020年2月に平面化の最大地震M7.2の翌月にM7.5の海溝軸部地震が起ったことは,M8.0以上の巨大地震の発生も予想され,警戒が必要である(月刊地震予報126).不明な点の多い異常静穏化を継続している千島海溝域以外との力学的関係の構築を目指し,今後の地震活動を注意深く監視することにする.

月刊地震予報126)千島海溝域択捉島沖M7.2,千島海溝域巨大地震と沈込Slab,2020年3月の月刊地震予報

1.2020年2月の地震活動

気象庁が公開しているCMT解によると,2020年2月の地震個数と総地震断層面積のPlate運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で11個1.504月分,千島海溝域で1個4.098月分,日本海溝域で6個0.311月分,伊豆・小笠原海溝域で2個0.044月分,南海・琉球海溝域で2個0.042月分であった(2020年2月日本全図月別).2019年8月まで4割以上を保持していた日本全域総地震断層比が1割以下へ急減し,1割前後の異常静穏化が5ヶ月に渡り継続したが(月刊地震予報125),2020年2月の千島海溝域の4ヶ月分によって停止した.ただし,千島海溝域以外では異常静穏化が継続しており,1611年慶長奥羽地震から1677年延宝地震までの異常静穏期(月刊地震予報122)との対応が破れたかは,当時の千島海溝域と他海溝域との地震活動の関連性が不明なので注意深く見守る必要がある.
最大地震は2020年2月13日の千島海溝域択捉島沖M7.2tで,他にM6.0以上の地震は無かった.

2.千島海溝域択捉島沖M7.2

 2020年2月13日19時33分,千島海溝域の択捉島沖深度155km(Slab深度+79km)M7.2tが単独で起った.千島海溝域のM7.0以上の地震は,2018年12月21日にKamchatka海溝とAleutian海溝接合部外の深度17kmで起ったM7.3+nto(月刊地震予報112)以来で,以後静穏化していた(図357).

図357.2020年2月13日千島海溝域択捉島沖M7.2.
 千島海溝域のCMT解:年月日と規模は択捉島沖M7.2・Kamchatka沖 M7.3の震源.
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海溝に沿って太平洋Plateが同心円状屈曲して沈込むSlabの表層は伸張し,深層は圧縮する.Slabが沈込むと太平洋底下を並進してきたMantleが行場を失い,Slabを押上げ,Slabは平面化する(月刊地震予報124).平面化すると圧縮されていた深層は伸張し,伸張していた表層は圧縮して地震を起こす.
今回のM7.2はSlab深層の平面化(unbend)に伴う最大のCMT解である.本予報では択捉島沖のSlab深層平面化地震をuBdとし,千島のCと択捉のEtrを付してuBdCEtrと略称する.uBdCの東端は新知(しむしる)島沖まで起っているが,今回はその中間の択捉島東方沖で起った.
Slab表層の平面化は島弧の隆起をもたらし,前弧(foreArc)の海岸付近で地震を起こすのでfAcと略称する.Mantle相転移の深度350/550km範囲に対応する千島海溝域の地震はVladivostokに向かって沈込む深発地震面の北東部に成るのでVlacCと略称する.

3.千島海溝域巨大地震と沈込Slab

日本列島における地震計観測網による地震記録は気象庁Home Pageの震度Databaseとして公表されている(月刊地震予報124).震度1の地震には震源の詳細不明が多く,震源が決定された地震規模もM1からM2が主で,CMT解やIS解と比較するためのM4.0以上の地震の最大震度は3以上になる.ただし,千島・伊豆・琉球海溝域については観測点が疎らなため,M6.0以上の地震でも最大震度2になるので,震度2以上でM4.0以上の地震をSeno & Eguchi(1983 )・宇佐美(2003)・渡辺(2011)に加えて解析に使用する.
1922年1月からの気象庁観測地震によると千島海溝域ではM8.0以上の地震が7個あった(図358).M8.0以上の巨大地震は1994年から2013年(5-7),1952年から1963年(2-4)と1923年(1)に起っている.

図358.千島海溝域のM8.0以上の地震.
 右中の時系列図左縁の数字(1-7)は巨大地震番号.
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 千島海溝域のM8.0以上の巨大地震は,
7)2013年5月24日14時44分M8.3 VladKamcP609(+87)km
6)2007年1月13日13時23分M8.2CtrSmsTe30(+17)km
5)1994年10月4日22時22分M8.2ofAcCEtr28(-1)km
4)1963年10月13日14時17分M8.1CtrEtr0(-18)km
3)1958年11月7日7時58分M8.1oCsmEtr13(-20)km
2)1952年11月5日1時58分M8.2Kamc0(-68)km
1)1923年2月4日1時1分M8.3Kamc0(-55)km
の7個である.KamcはKamchatka,Smsは新知(しむしる),Etrは択捉である.
 これらの巨大地震は,Slabが海溝に沿う同心円状屈曲沈込のCtrC地震(6・4),Slabと島弧地殻の衝突によるoCsm地震(3),島弧Mantleとの衝突によるofAcC地震(5)およびKamc地震(1・2),平面化したSlabが併進Mantleに押されたり,下部Mantle表面との衝突による深発地震面Vlad地震(7)である.
これらの巨大地震の震源を黄色に塗潰し,Slab深層の平面化地震uBdCの海溝距離面図・震央地図・縦断面図・時系列図・歪主応力方位図に挿入し,対応関係を示す(図359).

図359.千島海溝域のSlab深層の平面化地震uBdCの海溝距離断面図・震央地図・縦断面図・時系列図・歪主応力方位図.
 M8.0以上の巨大地震の震源の丸印を黄色に塗潰して挿入.右中の時系列図左縁の数字(1-7)は巨大地震番号.
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 縦断面図左端の襟裳小円北区の根室沖に多数の震源が集まっているが,巨大地震の期間には震源分布が右側に広がり,Slab平面化の強度とともに変化し,巨大地震と対応している.
 千島海溝域のSlab深層平面化地震uBdCの総地震断層面積規模移動平均曲線areaMは過去百年間の千島海溝域の並走Mantleの押出し量変動を表している.この変動はSlab表層平面化地震fAcCや平面化後の深発地震面VladCとも関係し,更に日本海溝域の襟裳小円区の深発地震面VladE・最上小円区のVladM・鹿島小円区VladK,そして伊豆海溝区の翼状SlabのWβ・Wγとも関係していると考えられる.これらの関係を解析するため,総地震断層面積規模移動平均曲線areaMと積算地震断層面積Benioff図を比較する(図360).

図360.伊豆海溝域翼状Slab WγWβ・日本海溝域深発地震面VladKME・千島海溝域深発地震面VladC・Slab表層平面化fAcC・Slab深層平面化uBdCの総地震断層面積の変動.
 総地震断層面積規模移動平均曲線をareaM,積算地震断層面積図をBenioffと示す.Benioffの下の数値は,総地震地震断層面積のPlate運動面積に対する比.下のΣMは総地震断層面積を規模に変換した値,243.5dayは移動平均算出幅,nは地震個数.左縁の数字は西暦年数,右縁の数字は千島海溝域のM8.0以上の巨大地震番号.
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 千島海溝域のSlab深層平面化地震uBdCと表層平面化地震fAcCのBenioff曲線は巨大地震5近くに大きな段差を有し,共通する変動を記録している.ただし,areaM曲線の対応は不明瞭である.areaM曲線については,現在から巨大地震6までのuBdCとVladCに類似する変動が認められ,伊豆海溝域のWγWβにも認められる.

4.2020年3月の月刊地震予報

 2019年9月から継続していた地震活動静穏化は,2020年2月13日千島海溝域択捉島沖M7.2によって日本全域の総地震断層面積のPlate運動面積に対する比が1.5と2018年12月21日Kamchatka沖M7.3(月刊地震予報112)以来13ヶ月ぶりに1を超えた.千島海溝域はM8.0以上の巨大地震によってPlate面積を消化してきており(図357),次の巨大地震が心配されるが,多様な巨大地震間隔のため(図358),今回と2018年のM7級の地震が前兆であるかは分からない.
太平洋Plateの海溝に沿う同心円状屈曲沈込と平面化は,日本列島の巨大地震を支配し,巨大地震は集積歪を解放し,日本列島の歪分布と沈込・平面化の様相を改変すると考えられる.千島海溝域のSlab平面化地震uBdCと深発地震面地震VladC,更に伊豆海溝域の翼状Slabの地震WγWβに東日本巨大地震を挟む期間で共通する変動が認められたことは,異常静穏化が進行してる他海溝域に変動をもたらすことも充分考えられるので注意深く見守る必要がある.

引用文献

Seno, T. &Eguchi, T. (1983) Seismotectonics of the western Pacific region. Geodynamics of the western Pacific-Indonesian region, Geodynamics Series, 11, American Geophysical Union, 5-40.
宇佐美龍夫(2003)日本被害地震総覧.東京大学出版会,605p.
渡辺偉夫(2011)日本被害津波総覧(第2版)東京大学出版会,238p.

月刊地震予報125)静穏化が続く日本列島,2020年2月の月刊地震予報

1.2020年1月の地震活動

気象庁が公開しているCMT解によると,2020年1月の地震個数と総地震断層面積のPlate運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で10個0.080月分,千島海溝域で2個0.040月分,日本海溝域で5個0.247月分,伊豆・小笠原海溝域で1個0.180月分,南海・琉球海溝域で2個0.008月分であった(2020年1月日本全図月別).2019年8月まで4割以上を保持していた日本全域総地震断層比の1割以下への急減が継続し,12月にやっと1割以上に回復したが,今月に1割以下に戻り,5ヶ月に渡る異常静穏化が進行している.
最大地震は2020年1月3日鹿島沖M5.8Pで,M6.0以上の地震は無かった.

2.2020年2月の月刊地震予報

2019年9月からの地震活動静穏化は継続している.この5ヶ月間の静穏化に匹敵するCMT解記録は,1995年5月から9月・1997年7月から1998年1月・2002年12月から2003年4月の3回のみである.
千島海溝域は2018年8月M6.4(月刊地震予報108)以後静穏化しているが,日本海溝域・伊豆小笠原海溝域・南海琉球海溝域は昨2019年9月から静穏化が進行している(図356).
慶長地震から延宝地震・元禄関東地震までの静穏期(6221月刊地震予報122)に対応するか注意深く見守ることにする.

図356. 現在低下中のCMT解総地震断層面積規模の移動平均.
 Total:日本全域,RykNnk:琉球海溝・南海Trough域,OgsIz:小笠原海溝・伊豆海溝域,Jpn:日本海溝域,Chishima:千島海溝域.下の数値は総地震断層面積のPlate運動面積に対する比と総地震断層面積.縦の黒色実線は総規模M6.0.