速報7)東日本テクトニクス過程としての東日本巨大地震
2011年4月30日 発行
(地球惑星科学連合大会発表予定)
東日本の大地形とテクトニクス
東日本は,脊梁山脈,北上・阿武隈低地そして北上・阿武隈山地,弘前から会津盆地に連なる山間盆地,出羽丘陵,海岸平野と日本海溝に並行する大地形からなる.海岸線から日本海溝の間には上部および下部深海平坦面が広く発達する.

図1. 日本海溝の逆S字型の屈曲に適合する太平洋の小円と最上の小円.小円の半径がいずれも400kmと等しい.この半径は太平洋プレートを屈曲させるための最小曲率半径と関係しているであろう(Niitsuma, 2004;新妻, 2007;新妻, 2010).日本海溝は,ほぼ直線状の北部,最上(もがみ)の小円に沿う中部,太平洋の小円に沿う南部から成る.
地表地質調査および深海掘削は,脊梁山地と出羽丘陵が褶曲隆起した複背斜構造,山間盆地が褶曲沈降した複向斜構造により形成され,深海平坦面が東縁隆起帯によって堰き止められた前弧海盆の表面であることを明らかにした.新第三紀以降,この東日本テクトニクスは進行してきたのである.プレートテクトニクスの登場により,日本海溝は太平洋プレートが沈み込む所であり,東日本のテクトニクスが太平洋プレートの沈み込みによって駆動されていると考えられるようになった.東日本に太平洋プレートが沈み込んで発生した今回の東日本巨大地震M9.0は,東日本テクトニクスの過程と言える.
変形せず剛体として地球表面を移動するプレートがどのようにして下方に屈曲して沈み込むかは,プレートの性質を知るための鍵である.日本海溝の形態は逆S字型をしており,千島海溝との会合部からほぼ直線的な北部,最上川河口沖を中心とする小円に沿う中部,伊豆海溝との会合部を含めた太平洋に中心を持つ小円に沿う南部に区分される(図1の小円,速報2).最上の小円と太平洋の小円は共に約400kmの半径を持ち,太平洋プレートの最小曲率半径との関係が示唆されている(Niitsuma, 1996).地震波トモグラフィー(Zhao, 2009)によって,厚さ100kmの低温で高速な太平洋プレートが半径375kmの同心円状に屈曲して沈み込む様子が明らかにされており(図2),両者はほぼ同じ最小曲率半径で沈み込んでいることが分かった.
» 続きはこちら
