2024年11月15日 発行
1.2024年10月の地震活動
気象庁が公開しているCMT解によると,2024年10月の地震個数と総地震断層面積のPlate運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で6個0.025月分,千島海溝域で1個0.002月分,日本海溝域で3個0.050月分,伊豆・小笠原海溝域で2個0.113月分,南海・琉球海溝域で0個であった(2024年10月日本全図月別).
2024年10月の総地震断層面積規模はΣM5.8で,最大地震は,2024年10月18日小笠原海台小円区深度13㎞のM5.5Psで,M6.0以上の地震は無かった.
2024年10月までの日本全域2年間のCMT解は372個で,その総地震断層面積規模はΣM8.0,Plate運動面積規模はM8.3で,その比は0.521である(図588の中図上).Benioff曲線(図588右図上左端Total/4)には2024年1月1日能登半島M7.5(月刊地震予報173),2024年4月3日の台湾海溝震源帯M7.4(月刊地震予報176),2024年8月8日九州小円区深度36㎞の日向灘M7.0(月刊地震予報180)の3つの段が認められ,それ以降は静穏化している.
図588 .2024年10月までの日本全域2年間CMT解.
左図:震央地図,中図:海溝距離断面図.震源円の直径は地震断層長であるが,この期間の地震規模が小さいので実際のCMT規模に1.5を加えΔM+1.5と,8倍拡大してある.数字とMは,M7.0以上と2024年10月の最大CMT解年月日・規模.
右図:時系列図は,海洋側から見た海溝域配列に合わせ,右から左にA千島海溝域Chishima,B日本海溝域Japan,C伊豆・小笠原海溝域OgsIz,D南海・琉球海溝域RykNnk,日本全域Total,を配列.縦軸は時系列で,設定期間の開始(下端2022年11月1日)から終了(上端2024年10月31日)までの731日間で,右図右端の数字は年数.設定期間の250等分期間2.9day(右下図右下端)毎に地震断層面積を集計・作図(速報36;特報5).
Benioff図(右上図)の横軸はPlate運動面積で,各海溝域枠の横幅はこの期間のPlate運動面積に比例させてあり,左端の日本全域Total/4のみ4分の1に縮小.
階段状のBenioff曲線は,左下隅から右上隅に届くように横幅を合わせ,上縁に総地震断層面積ΣMのPlate運動面積に対する比を示した.下縁の鈎括弧内右の数値[8.3] [7.9] [7.6] [7.5] [7.9]は設定期間のPlate運動面積が1個の地震として解放された場合の規模で,日本全域ではこの間にM8.3の地震1個に相当するPlate運動歪が累積する.上図右下端の(M6.1step)は,等分期間2.9日以内にM6.1以上の地震がTotal/4のBenioff曲線に段差与える.
地震断層面積移動平均規模図areaM(右下図)の横軸は地震断層面積規模で,等分期間「2.9day」に前後期間を加えた8.7日間の地震断層面積を3で除した移動平均地震断層面積を規模に換算した曲線である.右下図下縁の「2,5,8」は移動平均地震断層面積規模「M2 M5 M8」.右下図上縁の数値は総地震断層面積(km2単位)である.
areaM曲線・Benioff曲線の発震機構型による線形比例内分段彩は,座屈逆断層型を橙色・剪断逆断層型を赤色・横擦断層型を緑色・正断層型を黒色.
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2.2024年11月の月刊地震予報
伊豆弧北端の丹沢・伊豆衝突による西南日本の土台骨を破損した2024年1月1日能登半島地震M7.5(月刊地震予報173)後の2024年4月に台湾M7.4Psおよび2024年8月に西南日本・関東域のPlate境界の日向灘M7.0ps・足柄M5.0があり,その2日後にOkhotskでM6.5Pbそして10日後にKamchatkaでM7.0psが発生した.千島海溝域では,この2つの活動を含めても,2年間のPlate運動歪に対する総地震断層面積は0.180と数分の1に過ぎず,静穏期は10年以上も続いており,M8級巨大地震襲来が懸念される.その前震となるM7級の連発地震に警戒が必要である(月刊地震予報175).