速報4)この地震は予知できなかったのだろうか? 地震発震機構から考える

東日本大震災が日本の歴史上最大の震災となった要因の一つに,東京大学地震研究所の報道があげられる.3月9日の津波を伴ったM7.3の地震を,宮城県沖地震とは関係ない別の地震であると解説していたのだ.

3月11日の東日本巨大地震M9.0が発生してからは,3月9日の地震は前震であったとの解釈が報道されている.地震の専門家からはこのような結果論がコメントされているが,その根拠は未だ示されていない.3月9日の時点で注意を呼び掛ける報道がなされていれば,このように甚大な人的被害を少しでも防ぐことができたであろう.

過去最大の地震の予知が出来なかった現実を認め,今後起こると予想される関東,東海や東南海地震の被害を最小限に抑えるためにも,今回の地震の徹底的解明が図られなければならない. M9.0の予知さえ出来なかったら,将来にわたって地震の予知ができるはずはないであろう.

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速報3)関東まで続く東日本巨大地震の断層

東京における東日本巨大地震の揺れ

図4. 日本海溝周辺のプレート区分図. 二つの赤線四角は国土地理院資料のモデル断層面.赤星印は気象庁発表の東日本巨大地震の震源.BT:境界断層,MSL:盛岡-白河線,FFt:双葉断層,TTL:棚倉構造線,MTL:中央構造線,ISTL:糸魚川-静岡構造線.

 東京在住の方からの情報では,3月11日の東日本巨大地震における揺れは,大きく3つに分けられるとのことである.最初の2つは大きな揺れであったが被害が少なかったが,最後の揺れは特別強く,甚大な被害をもたらしたそうである.

 今回の地震で日本海溝陸側の下部深海平坦面東縁の隆起帯の断層は,三陸沖から関東沖に北から南に向って進行したため,仙台でも南北の揺れが激しく,物は北から南に移動した.国土地理院が地殻変動を説明するために算出した2つの断層の境界は,日本海溝に沿う海底地形の不連続と調和的である.北側の断層1は上部深海平坦面と下部深海平坦面が南北に連続する海域にあるが,断層2はこの一連の地形が切断され崖状の海底地形をなす海域である(図4).中央構造線は西日本を縦断しており,その東方延長は中部日本で北側に屈曲して関東山地の北縁を通り,利根川に沿って茨城県沖のこの海域に達している.今回の東日本大地震を起こした断層はこの境界を越えて千葉県沖にまで達していることから,東京で体験された3つの揺れは,三陸沖の断層1,福島県・茨城県沖の断層2,そして中央構造線より南側の千葉県沖に対応するものと推定される.

速報2)太平洋プレート沈み込みと東日本巨大地震

太平洋プレートの沈み込み

Fig1. JapanTrSmallCircle

図1. 日本海溝の逆S字型の屈曲に適合する太平洋の小円と最上の小円.小円の半径がいずれも400kmと等しい.この半径は太平洋プレートを屈曲させるための最小曲率半径と関係しているであろう(Niitsuma, 2004;新妻, 2007;新妻, 2010).日本海溝は,ほぼ直線状の北部,最上(もがみ)の小円に沿う中部,太平洋の小円に沿う南部から成る.

 今回の東日本巨大地震は,世界最大の面積を持ち最高速で運動する太平洋プレートが東日本に沈み込むプレート運動によって発生した.殆ど変形しないで移動するプレートがどのように沈み込むかは,地球科学における第一級の問題である.

 太平洋プレートは,地球上で最も古く厚いプレートなので簡単に曲げることができない.日本海溝に沿って沈み込んでいる形が「逆Sの字」型に曲がっていることは(図1:新妻,2007),曲げることのできる限界の最小曲率半径に沿って沈み込んでいることを示している.日本海溝に接する円を描いてみると,最上沖と太平洋を中心とする半径400kmの円となる.このことから,最小曲率半径が400km程度であることが分かる.

 最近,地震波の伝わる速度をCTの手法で解析した東北日本の結果が報告されている(図2:Zhao, 2009).この報告では,日本海溝から沈み込む太平洋プレートは冷たいために地震波速度が速く青い板として表され,地震波速度の小さい緑や赤色の東北日本の下に沈み込んでいる.
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