速報28)東日本巨大地震が変えた地震活動様相

1.東日本巨大地震前後の地震活動

 気象庁公表のCMT震源機構解を解析したところ,2011年3月11日の東日本巨大地震M9.0(東北地方太平洋沖地震)前の16年半に起こっていた地震は,日本全域に亘って1124震源に達していた.巨大地震後の1年3ヶ月間には既に1180震源が日本海溝域に集中して起こっている.巨大地震によって地震活動が10倍以上活発化したが(図59),初動震源位置とCMT発震機構型(震源震央図解説)の解析によって,巨大地震が地震活動の様相を一変させたことが明らかになった.

図59.東日本巨大地震による地震活動様相の変化.左:巨大地震前,右:巨大地震後.

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速報25)2012年4月の地震予報

東日本巨大地震から1年が経過したが,この1年間は歴史的にも非常に地震の多い年となった.巨大地震前の16年半について気象庁から公表されているCMT震源数が1107個である.これに対し,巨大地震から2012年3月までのCMT震源数は補充報告を加えると1090個とほぼ同程度になっている.

過去16年半においても地震活動の盛衰が明らかであるが(速報21図38),2011年か
ら2012年にかけても地震活動の盛衰が見られる.2011年3月に419個の地震が起こった後
,その個数を減少させ,12月には30個と最低を記録した.12月の地震数だけでも1995年
の17個,1996年の31個,1997年の15個の年間地震数と同程度か上回っている.その後,
2012年1月から月間地震個数が増大し,新たな活動を開始している(表6).

表6-1:気象庁からCMT発震機構解として公表された年間震源個数

1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002
震源個数 9 17 31 15 31 41 85 42 57
2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
95 99 78 79 72 76 71 165 1033 120

表6-2:気象庁からCMT発震機構解として公表された2011〜2012年の月間震源個数

2011 2012
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3
震源個数 15 30 419 147 96 63 65 58 40 37 33 30 33 37 48

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速報19)2011年11月の地震予報

10月の地震活動で注目されるのは,日本海溝の外側で地震が再び活発化したことである.ここでは,東日本巨大地震の40分後に日本海溝付近の太平洋プレートが急激に引き込まれ正断層型余震Eaft M7.5(図32の最上小円断面図右端)が起こっている.その後のCMT解の公表されている海溝外地震(速報18)も3月に8回,4月に7回,5月に7回,6月に10回,7月に3回,8月に7回と継続して正断層型地震を起こし,本震によって急激に沈み込んだ太平洋プレートの引き摺りが続いた.その間に7月10日には引き摺り込まれたプレートが滞り,調整するための横ずれ断層型地震oMyg M7.0(図32の最上小円断面図右)が起こっている(速報13).また,8月25日には太平洋プレートの底で起こり,プレートの切断も心配された(速報15).9月に1回と沈静化したかに見えた海溝外地震の活動も10月に7回,11月に入ってからすでに4回も起こっている(図32).3月からの海溝外地震10回の後に4月7日の宮城県沖M7.1と4月11日浜通M7.0が起こったことから,明治三陸津波地震後に起こった3つ目の宮城県沖地震(速報9)の再来が心配される.

図32.

図32 CMT震源図2011年10月.×:初動震源,結線端:CMT震源,赤(黄):逆断層型,黒:正断層型,緑:横ずれ断層型

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