2022年4月28日 発行
1.2022年3月の地震活動
気象庁が公開しているCMT解によると,2022年3月の地震個数と総地震断層面積のPlate運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で21個2.642月分,千島海溝域で0個,日本海溝域で9個16.620月分,伊豆・小笠原海溝域で0個,南海・琉球海溝域で12個0.946月分であった(2022年3月日本全図月別).総地震断層面積規模はΣM7.5で.最大地震は阿武隈沖の東北日本前弧沖震源帯M7.4Pであった.M6.0以上の地震には琉球海溝域の台湾の琉球海溝震源帯M6.6Poを加わえ2個であったが,最大地震M7.4の2分前に起こりIS解のみとなったM7.4の前震M6.1(2022年3月東北日本IS月別)も加わえて3個とした.
M6.0以上の震度分布(図462)は,東北日本前弧沖帯のM7.4では最大震度6強に達し,本州から北海道・小笠原諸島に達している(図462中図).2分前のM6.1では,最大が震度5で東北日本から中部日本・北海道に及んでいる(図462左図).琉球海溝震源帯のM6.6では,最大が震度2で八重山諸島に限られ,琉球列島と本州の島弧地殻・Mantleに大きな相違のあることを示している.

図462.2022年3月のM6.0以上の地震の震度分布.
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2022年2月にはM6.0以上の地震が無く静穏であったが,東北日本前弧沖震源帯でCMT解が2個・IM解が15個と急増するとともに,琉球海溝域の沖縄海盆震源帯と台湾震源帯にもM5.8があり,警戒を呼び掛けていた(月刊地震予報150).この警告通りに,2022年3月の東北日本前弧沖震源帯でM7.4と琉球海溝震源帯でM6.6が発生した(図463).

図463.2021年1月から2022年3月までの日本全域15ヶ月間CMT解
震央地図(左図)と海溝距離断面図(中図).
地震断層面積変遷(右上下図):右縁の数字は月数(図422説明参照(月刊地震予報144).
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2.2022年3月16日東北日本前弧沖震源帯M7.4
2022年3月16日23時36分に東北日本前弧沖震源帯ofAcJの深度57㎞でM7.4Pが発生した(図464).

図464.2021年1月から2022年3月までの15ヶ月の日本海溝域のCMT解.
左の震央地図中の左上から右下への線は2°間隔(222㎞)のPlate運動Euler緯線.数字とMはM6.0以上のCMT発生年月日と規模.
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今回の地震の2分前の23時34分にその南南西2㎞の同深度でM6.1pの前震が発生していた.この前震で新幹線が自動停車したため,転覆は免れたが,重力を上回る上方への突き上げによって車輪がrailから浮き上がり,脱線した.
CMTから算出される今回の地震断層は(速報33),西北西に49°傾斜する逆断層(走向192°傾斜49°)であり,断層西側の東北日本弧上部Mantleが東北日本弧を東南東に押上げた.主歪軸下半球傾斜方位(P104+0T9+88N194+2)の引張T軸傾斜方位は上半球で南南西に-88°とほぼ真上で,新幹線車両を脱線させた突上げと整合的である.
構造物は上載荷重を安定化の為に用いているため,T軸傾斜が垂直で真上に突上げる地震には脆弱であり,警戒が必要である.昨年2021年2月13日の前弧沖震源帯M7.3の地震断層も西北西に46°傾斜する逆断層(走向189°傾斜46)であったが,新幹線の脱線に至らなかったのは,規模が0.1小さいM7.3で,働いた力が今回の7割程度であったことと,主歪軸下半球傾斜方位(P290+9T61+76N199+0)のT軸傾斜が76°と垂直から14°ずれていたためであろう.
Plate Tectonicsで海洋底が海溝に沿って同心円状に屈曲してSlabとして沈込んでいるのは,その首筋を最も強靭な屋台骨である島弧の上部Mantleが押さえ込んでいるからである.この押さえ込み境界は,Slab上面と島弧上部Mantleが接するPlate衝突境界であり,この境界で前弧沖震源帯を構成する地震が起こっている.東北日本弧はこの押さえ込みを押し戻そうとする反力によって,海面上に顔を出し東北日本弧を形成している.この押し上げ歪の解放が,新幹線まで脱線させてしまったのである.
Plate相対運動は島弧側に傾斜しているSlab上面に沿っているが,境界面の摩擦によって境界面に直交する抗力が働き,圧縮P歪軸傾斜は島弧側から海溝側へ変化する.
2分前の前震M6.1pの初動IM解の主歪軸傾斜方位(P86+3T191+60N134+30)は今回のCMT傾斜方位から32.2°偏り,引張T軸傾斜も南南西に60°と垂直から外れている.この前震から垂直方向への突き上げを予測することは困難である.
2021年2月13日のM7.3から約1年後にM7.4と新幹線が再び不通になる地震が起こった.この起こり方が今後も続けば,毎年,新幹線の不通を覚悟しなければならない.日本海溝沿いの太平洋Plate年間沈込面積はM7.4であり,Plate運動による歪が全て前弧沖震源帯に蓄積すれば毎年M7.4の地震が発生することになる.前弧沖震源帯の最大観測地震は2011年3月11日15時15分のM7.6であるが,明治三陸沖地震を含む1895年以降のM7.3以上の地震は(Ft地震断層面走向_傾斜,歪軸方位);
2022年3月16日23時36分M7.4P 阿武隈沖 Ft192_49逆 P104+0T9+88
2021年2月13日23時07分M7.3p 阿武隈沖 Ft189_46逆 P290+9T61+76
2016年11月22日5時59分M7.4-t 阿武隈沖 Ft220_54正 P27+71T141+8
2011年3月11日15時15分M7.6p 勿来沖 Ft20_68逆 P110+16T290+74
1978年6月12日17時14分M7.4 金華山沖
1938年11月5日19時50分M7.3 阿武隈沖
1936年11月3日5時45分M7.4 金華山沖
1901年8月10日3時34分M7.4 下北沖
1897年2月20日5時50分M7.4 金華山沖
の9個である.平均間隔は14年で,M7.3以上の地震が翌年に起こったのは,今回のみで,以前の最短間隔は1936年11月3日から1938年11月5日の2年であることから,来年も新幹線が不通になることはなさそうである.
3.台湾の琉球海溝震源帯TrPhTwM6.6Po
2022年3月23日2時41分,台湾の琉球海溝震源帯TrPhTwの深度44㎞でM6.6Poが起こった.

図465.琉球海溝域の2021年4月から2022年3月までの年間CMT解.
左の震央地図中の左上から右下への線は2°間隔(222㎞)のPlate運動Euler緯線.数字とMはM6.0以上のCMT発生年月日と規模.
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琉球海溝域の総地震断層面積がPlate運動面積の半分以下であることが大きな謎であるが(月刊地震予報147),2021年10月から2022年3月までの半年間は,Plate運動累積面積(図465右中図のBenioff図左下角から右上に伸びる斜線)と地震断層累積面積がほぼ同じ傾斜で増大している.地震の発震機構型は3分の1が逆断層型(赤色)で3分の2が正断層型(黒色)である.正断層型は沖縄海盆拡大,逆断層型は台湾と八重山諸島におけるSlab沈込に伴っている.琉球海溝に沿って沈込んだSlab下の随行MantleがSlab下縁を通過して大陸Mantleと衝突して琉球列島を押出し,沖縄海盆を拡大させている.累積地震断層面積と累積Plate運動面積がほぼ等しいここ半年の状態がどの様に変遷するか,今後注意深く解析を進める.
4.2022年4月の月刊地震予報
日本海溝域では,日本海溝から沈込む太平洋底を同心円状屈曲させている前弧沖震源帯でM7.4が起こり新幹線を脱線させたが,この余震活動は数か月続くと予想される.今後,前弧沖震源帯を通過した同心円状屈曲Slabの平面化に伴う地震に警戒が必要である,これらの地震の深度は今回の前弧沖震源帯より深いため今回ほどの被害は出ないであろう.
琉球海溝域では沖縄海盆拡大期の次に予想される琉球海溝震源帯のM7.0以上の大地震を待つ状態にあり(月刊地震予報147),警戒が必要である.
2022年3月24日 発行
1.2022年2月の地震活動
気象庁が公開しているCMT解によると,2022年2月の地震個数と総地震断層面積のPlate運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で8個0.101月分,千島海溝域で1個0.003月分,日本海溝域で3個0.092月分,伊豆・小笠原海溝域で0個,南海・琉球海溝域で4個0.233月分であった(2022年2月日本全図月別).総地震断層面積規模はΣM6.2で.最大地震は琉球海溝震源帯のM5.8Pで,M6.0以上の地震はなかった.
前月の2022年1月の地震活動は,伊豆海溝域と琉球海溝域でM6.0以上の地震3個,総地震断層面積ΣM6.3と活発であった(月刊地震予報149).注目されるのは,2021年7月以降静穏化していた日本海溝域で2022年1月に北上前弧沖震源帯M4.7(IM解5個:2022年1月東北日本IM月別)のみであったのが,2月には前弧沖震源帯で2個(IM解15個)と急増している(図462).

図462.2021年3月から2022年2月までの日本全域年間CMT解
震央地図(左図)と海溝距離断面図(中図).
地震断層面積変遷(右上下図):右縁の数字は2021年の月数(図422説明参照(月刊地震予報144).
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2.2022年3月の月刊地震予報
これまで毎月,M6.0以上のCMT解があり,章を改めその解析を掲載してきたが,7ヵ月ぶりにM6.0以上がなかった.ただし,琉球海溝域では最大地震M5.8が起こっており,沖縄海盆拡大期の次に予想される琉球海溝震源帯のM7.0以上の大地震を待つ状態にある(月刊地震予報144)ので,沖縄海盆拡大および関連して活動した熊本地震(速報予報79)のような地震についても警戒が必要である.
日本海溝域では,東北日本に被害をもたらした2021年2月13日前弧沖震源帯M7.3の余震活動も2021年7月に収まり,静穏化していたが,2022年2月に同じ前弧沖震源帯で活発化が認められた.静穏化している間の太平洋Plate運動面積はM7.0以上に達していることから警戒が必要である.
2022年2月28日 発行
1.2022年1月の地震活動
気象庁が公開しているCMT解によると,2022年1月の地震個数と総地震断層面積のPlate運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で7個0.432月分,千島海溝域で0個,日本海溝域で1個0.009月分,伊豆・小笠原海溝域で1個0.412月分,南海・琉球海溝域で5個0.987月分であった(2022年1月日本全図月別).総地震断層面積規模はΣM6.8で.M6.0以上の地震は,1月3日琉球海溝域花蓮沖の琉球海溝震源帯M6.3+p,1月4日小笠原海溝域の小笠原海溝震源帯M6.1np,1月22日南海Trough域の日向震源帯M6.6Tの3個である(図455).
2021年2月13日の最大地震M7.3(月刊地震予報138)を起こした日本海溝域(図455B)の地震活動が静穏化した2021年7月以降,南海・琉球海溝域(図455D)と伊豆・小笠原海溝域(図455C)で呼応するように地震活動が活発化したが,2022年1月も南海・琉球海溝域と小笠原海溝域でM6.0以上の地震が起こった..

図455.2021年2月から2022年1月までの日本全域年間CMT解
震央地図(左図)と海溝距離断面図(中図)のMと数字は,2022年1月のM6.0以上の地震と過去1年間の最大地震(<月刊地震予報138).
地震断層面積変遷(右上下図):右縁の数字は2021年の月数(図422説明参照(月刊地震予報144).
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これらの地震の震度分布は,花蓮沖の地震では八重山諸島で震度5に達し(図456左),小笠原沖の地震では小笠原諸島で震度4まで(図456中図),日向灘の地震では西南日本全域で震度5強まで(図456右図)となっている.

図456. 2022年1月のM6.0以上の地震の震度分布.
左図:2022年1月3日花蓮沖M6.3.
中図:2022年1月4日小笠原沖M6.1.
右図:2022年1月22日延岡沖M6.6
赤色×:震央,1-5:震度.気象庁HomePageより.
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2.1月3日琉球海溝域花蓮沖の琉球海溝震源帯M6.3+p
2022年1月3日18時46分,琉球海溝域八重山小円区の花蓮沖琉球海溝震源帯TrPh深度27kmでM6.3+pが発生した(図456).この震源は琉球Slab上面下12㎞である.震央は,八重山小円区と花蓮小円区との境界部に位置するが,この境界部は,海溝軸輪郭が八重山小円区に設定されている海溝軸位置から北側に屈曲して大きく外れる異常な地域である.

図457.2022年1月3日花蓮沖M6.3+p・1月22日延岡沖M6.6Tの琉球海溝域半年間主歪軸方位図..
左図:震央地図.北西‐南東向きの曲線はPhilippine海Plateの南華Plateに対する2°(222㎞)間隔のEuler緯線.
中図:海溝距離断面図.数字とMはM6.0以上の地震発生年月日と規模.
右上図:海溝距離dTr=200km島弧側の海溝軸沿縦断面図と移動平均地震断層面積規模曲線areaM.
右中図:時系列図.右端の数字は2021年8月から半年間の月数.左端が移動平均地震断層面積規模曲線areaMと積算地震断層面積曲線Benioff.
右下図:主歪軸傾斜方位図.中央横線が基準の海溝傾斜方位TrDip.紫色折線SubはPlate運動方位.
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今回の花蓮沖の震央域は,ここ半年間に4個のCMT解がある繰り返し震源域である(図457).今回のM6.3から震央距離30㎞以内には,28個のCMT解があり,2015年4月20日M6.8P(速報67)が最大で,9個がM6.0以上である.この30㎞震央範囲内のCMT解の地震断層面積の移動平均規模曲線とBenioff曲線を,琉球海溝域の歪蓄積解放周期(月刊地震予報147)と比較すると,沖縄海盆拡大(Okw)の曲線に最も良く対応する(図458).30㎞範囲最大CMTの2015年4月20日M6.8Pが,沖縄海盆拡大最大の2015年11月14日M7.1に半年先行して対応している.

図458.花蓮沖繰り返し地震域の積算地震断層面積Benioff曲線と琉球海溝域歪蓄積解放周期の対応:沖縄海盆(Okw),Slab平面化(PhuBd),琉球海溝(TrPh),合計(Total).
上図左端:2022年1月3日M6.1震央から30㎞以内の花蓮沖繰り返し地震域におけるCMT解移動平均地震断層面積規模曲線と積算地震断層面積Benioff曲線.
上図右側:琉球海溝域歪蓄積解放周期(月刊地震予報147).
左下図:花蓮沖繰り返し地震の震央地図.
右下図:花蓮沖繰り返し地震の海溝距離断面図.
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沖縄海盆の拡大は琉球Slab下を通過流入する随行Mantleによって駆動されている.2021年12月の悪石島M6.1と宮古島沖M6,1はこの随行Mantleの増大を示している(/7091>地震予報148).従って,琉球海溝域歪蓄積解放周期の最終段階である沖縄海盆拡大が継続することも予想される.
3.小笠原海溝域の小笠原海溝震源帯の小笠原沖M6.1np
2022年1月4日6時8分,小笠原海溝域小笠原震源帯の小笠原沖深度77㎞でM6.1npが発生,震源は小笠原Slab上面下36㎞である(図459).

図459.2022年1月4日小笠原沖M6.1npの伊豆・小笠原海溝域半年間主歪軸方位図..
左図:震央地図・海溝距離断面図.震央地図の西‐東南東向き曲線は太平洋PlateのPhilippine海Plateに対する2°(222㎞)間隔のEuler緯線.数字とM:M6.0以上の地震発生年月日と規模.
右上図:海溝距離dTr=0kmの海溝軸に沿う縦断面図と移動平均地震断層面積規模曲線areaM.
右中図:時系列図.右端の数字は2021年8月から半年間の月数.左端が移動平均地震断層面積規模曲線areaMと積算地震断層面積曲線Benioff.
右下図:主歪軸傾斜方位図.中央横線が基準の海溝傾斜方位TrDip.紫色折線SubはPlate運動方位.
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今回の地震は,小笠原小円区南縁の圧縮横擦断層np型で,主圧縮歪P軸は海溝傾斜方位TrDipと逆方位(図459右下図上縁)へ2°傾斜と,ほぼ水平である(図459左図右).小笠原小円区南縁は,Plate運動方位(Sub紫色折線)と基準の海溝傾斜方位(中央黒直線TrDip)がほぼ一致しているので,今回の地震はPlate運動による圧縮により起こっていると言える.この圧縮については.Slab深部の屈曲による短縮あるいは行き場を失ったSlab随行Mantleによる圧縮が考えられる.
4. 延岡沖の日向震源帯M6.6T
2022年1月22日1時8分,南海Trough域南海小円区日向震源帯Hygの延岡沖深度45㎞でM6.6Tが発生した.この地震の震源は,南海Slab上面から29㎞上の島弧Mantle内で起こったもので,南海Slab内の地震ではない(図460).
日向震源帯の全CMT解の総地震断層面積規模はΣM7.1,最大CMT解は2001年3月24日安芸灘M6.7Trで,今回のM6.6は,それに次ぐ規模である.しかし,観測点の豊富な西南日本において,IS解が報告されていない.

図460.2022年1月22日日向灘M6.6Tの南海Trough域半年間CMT主歪軸方位図..
左図:震央地図.震央地図の北西‐南東向き曲線はPhilippine海PlateのAmur Plateに対する2°(222㎞)間隔のEuler緯線.
中図:海溝距離断面図.数字とM:M6.0以上の地震発生年月日と規模.
右上図:海溝距離dTr=+80km島弧側の海溝軸沿縦断面図と移動平均地震断層面積規模曲線areaM.
右中図:時系列図.右端の数字は2021年8月から半年間の月数.左端が移動平均地震断層面積規模曲線areaMと積算地震断層面積曲線Benioff.
右下図:主歪軸傾斜方位図.中央横線が基準の海溝傾斜方位TrDip.紫色の折線SubはPlate運動方位.
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今回の震源域の震源距離10㎞以内の0-7㎞上方には,同日2022年1月22日5時31分に深度38㎞M4.7-trのCMT解1個が報告されている.時間の経過を辿ると,3時17分深度45㎞のM4.0tr・3時43分深度39㎞のM4.0tr・5時31分深度38㎞のM4.7tr・13時20分深度40㎞のM4.1prのIS解4個が続いた.
これらの地震の中で5時31分M4.7-trのみがCMT解とIS解が報告されているので,
このCMT解の歪場方位を基準に他の地震の歪場を比較する.何れも基準の極性を保ち,最初のM6.6TのCMT歪場偏角は+20.7°と大差ない.基準地震のIS解の歪場偏角も-25.4°と変わらない.他のIS解の歪場偏角は,時刻順に-38.9・-44.5・-42.3°と歪場に大きな変動は認められない(図461).日向震源帯最大規模に次ぐ今回の地震を発生させた歪は完全に解放されないまま,
CMT解とIS解が途絶えたことになる.歪場が解放されず保持されているので,今後,同程度の地震が起こることも予想され,警戒が必要である.

図461.2022年1月22日延岡沖M6.6Tの10㎞震央距離範囲のCMT解とIS解の歪場偏角.基準はM4.7-trのCMT解歪場(+印).
左図:震央地図.
右上図:海溝距離断面図.
右中図:海溝距離dTr=80km島弧側の海溝軸沿縦断面図と移動平均地震断層規模曲線.
右下図:2022年1月21日から22日の歪場偏角時系列図(左端)と縦断面位置.
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5.2022年2月の月刊地震予報
現在の琉球海溝域は,歪蓄積解放周期における沖縄海盆拡大期から, 琉球海溝震源帯M7.0以上の大地震を待つ状態にある(月刊地震予報144).しかし,2021年12月の悪石島M6.1と宮古島沖M6.1によって随行Mantleが背弧側へ流入していることが明らかになり(月刊地震予報148),今回,沖縄海盆拡大と対応して活動する花蓮沖震源域でM6.3が起こったことから,沖縄海盆拡大が継続することも予想され,関連して活動した熊本地震(速報予報79)についても警戒が必要である.
今回,島弧上部Mantleで起こった日向震源帯の活動は,歪を解放せず休止状態に入っており,今回のM6.6程度の活動にも警戒が必要である.