2022年1月20日 発行
1.2021年12月の地震活動
気象庁が公開しているCMT解によると,2021年12月の地震個数と総地震断層面積のPlate運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で17個0.177月分,千島海溝域で2個0.014月分,日本海溝域で5個0.109月分,伊豆・小笠原海溝域で1個0.015月分,南海・琉球海溝域で9個0.414月分であった(2021年12月日本全図月別).総地震断層面積規模はΣM6.5で.M6.0以上の地震は,12月9日琉球海溝域悪石島の沖縄海盆震源帯M6.1Tと12月26日琉球海溝域宮古島沖琉球Slab平面化震源帯M6.1-trの2個である(図450).

図450.2021年1月から2021年12月までの日本全域年間CMT解
震央地図(左図)と海溝距離断面図(中図)のMと数字は,2021年12月のM6.0以上の地震・過去1年間の最大地震(月刊地震予報138).
地震断層面積変遷(右上下図):右縁の数字は2021年の月数(図422説明参照(月刊地震予報144).
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これらの地震の震度分布は,悪石島の地震では奄美諸島で震度5に達し(図451左),宮古島沖の地震では八重山諸島で震度4までとなっている(図451右図).

図451. 2021年12月のM6.0以上の地震の震度分布.
左図:2021年12月9日悪石島M6.1.
右図:2021年12月26日宮古島沖M6.1.
赤色×:震央,1-5:震度.気象庁HomePageより.
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2.悪石島の沖縄海盆震源帯深度14kmのM6.1T
2021年12月9日11時05分,琉球海溝域琉球小円区沖縄海盆震源帯Okw北東縁の吐噶喇列島悪石島の南西沖深度14kmでM6.1Tが発生した(図452).

図452.2021年12月9日悪石島引張過剰正断層型M6.1T・12月26日宮古島沖圧縮過剰斜方正断層型M6.1-trの琉球海溝域半年間主歪軸方位図..
左図:震央地図.北西‐南東向きの曲線はPhilippine海Plateの南華Plateに対する2°(222㎞)間隔のEuler緯線.
中図:海溝距離断面図.数字とM:M6.0以上の地震発生年月日と規模.
右上図:海溝軸から海溝距離dTr=200kmの海溝軸に沿う島弧側縦断面図と移動平均地震断層面積規模曲線areaM.
右中図:時系列図.右端の数字は2021年6月から半年間の月数.左端が移動平均地震断層面積規模曲線areaMと積算地震断層面積曲線Benioff.
右下図:主歪軸方位図.中央横線が基準の海溝傾斜方位TrDip.
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今回の震源域では,12月5日11時14分深度19㎞のM4.9T,12月7日11時13分深度17㎞のM4.7Tの連発地震があった.連発地震は今回の地震の歪場から16.5°と19.6°偏るのみで,これらの地震は同一歪場内で起こった前震と主震である.
前震から主震までに初動震源深度は19㎞から,17㎞そして14㎞と浅くなり,初動震央も悪石島火山の南西50.9㎞から44.6km, 37.9kmへと近付いている.
破壊開始点が初動震源で,主破壊点の重心がCMT震源である(速報11).CMT震源は初動震源の南方6㎞,21㎞,12㎞で,深度はいずれも10㎞である.悪石島火山に近付く初動震源の背後上方に主破壊域が追うように配置している.非双偶力成分比は+28%,+22%,+25%と引張過剰である.
今回の震源域の最初のCMT解は2021年4月10日深度19㎞の引張過剰引張横擦断層型M4.5+ntであるが,それに続き4月12日までに4個のCMT解があった.それらの歪場偏角は9.0°から12.0°と同一歪場内にあり,最後のCMT解が最大規模の引張横擦断層型M5.3ntであるので,この連発地震は3個の前震に続く主震と判定できる.非双偶力成分比は,+10%,+6%,-11%,+2%である.

図453.琉球海溝域沖縄海盆震源帯OkwのCMT解
左図:北西‐南東向きの曲線はPhilippine海Plateの南華Plateに対する2°(222㎞)間隔のEuler緯線.△:活火山.
中図:海溝距離断面図.数字とM:今回の悪石島と2021年12月最後の地震およびM6.5以上の地震発生年月日と規模.
右上図:海溝軸から海溝距離dTr=200kmの海溝軸に沿う島弧側縦断面図と移動平均地震断層面積規模曲線areaM.
右中図:時系列図.右端の数字は西暦年数.左端が移動平均地震断層面積規模曲線areaMと積算地震断層面積曲線Benioff.
右下図:主歪軸方位図.中央横線が基準の海溝傾斜方位TrDip.
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非双偶力成分比nonDCは,4月12日の主震の+2%と12月9日の主震の+25%の間に大差がある.震源域に蓄積した圧縮P歪に対する引張T歪の比T/Pは,nonDCの定義(速報37)から,
nonDCが「0」の場合は双偶力状態で「1」であるが,
正の引張過剰の場合には; T/P = ( 1 + nonDC) / ( 1 – 2*nonDC) で,
負の圧縮過剰の場合には; T/P = ( 1 + 2*nonDC) / ( 1 – nonDC) である.
この比は,4月12日に0.92であるが,12月9日には0.33と減少している.引張T歪が変わらなければ,圧縮P歪が3分の1に減少したことになる.
主圧縮歪P軸傾斜方位と傾斜角は,4月12日が[233+22],12月9日が[246+63]であり,西南西方へ22°の低角傾斜から63°の高角傾斜に変化している.圧縮歪の垂直成分は震源から地表までの上載岩圧に対応するので,震源深度に比例するが,両CMTの震源深度は等しいので,圧縮歪の垂直成分に変化がなければ,圧縮歪の水平成分が4.86分の1に減少したことになる.
nonDC%とP軸傾斜による圧縮歪についての算出結果は,共に西南西の沖縄海盆中央方向からの圧縮歪の減少を指示している.
4月12日M5.3ntより半月前の2021年3月28日に八重山諸島沖の深度152㎞の平面化震源帯でM6.2npが起こっている(月刊地震予報139).
今回の地震の前には2021年8月5日の花蓮沖M6.3(月刊地震予報144)と10月24日の台湾の深度115㎞のM6.3(月刊地震予報146)そして11月11日宮古島沖M6.5が海溝軸付近の深度90㎞で起こり,琉球Slabの下底を随行Mantleが背弧側に流出する際の掃引による引張歪の蓄積が示唆されていた(月刊地震予報147).
随行Mantleの沖縄海盆下への流入は.沖縄海盆を下から押し上げ,沖縄海盆底を膨張させて,圧縮歪を相殺する.今回の連発地震で明らかになった圧縮歪水平成分の減少は,随行Mantleの流入による沖縄海盆底の膨張と良く対応している.
悪石島より北の吐噶喇列島の火山付近にはCMT解が分布しないが,悪石島以南の活火山である横当島そして硫黄鳥島の西側には2003年からCMT解が報告されている.悪石島に対応するCMT解が2021年4月以降であることは,歪場蓄積前線が2021年に悪石島まで到達したからであろう.
3.宮古島沖琉球海溝震源帯深度39kmのM6.1-tr
2021年12月26日17時26分,琉球海溝域八重山小円区宮古島北東沖の琉球Slab平面化震源帯PhuBdにおいて,深度39kmの琉球Slab上面より7㎞上方でM6.1-trが発生した(図452).
発震機構型は圧縮過剰正断層型で主引張T歪軸方位は海溝軸に並行し,Plate運動方位やSlab傾斜方位に大きく斜交している.海溝軸輪郭に沿う八重山小円の中心は島弧側に位置し,海溝軸は海洋側に突出している.海洋側に突出した海溝軸から沈み込むSlabはSlab傾斜とともにSlab面積が不足するため(速報13),Slab傾斜に直交する引張歪が発生する.今回の地震は,T軸方位がSlab傾斜方位に直交していることから,Slab面積不足による引張歪蓄積によって起こったと言える.また,-18%の非双偶力成分比は,圧縮歪が引張歪の2.1倍に達する圧縮過剰を示している.同心円状屈曲して沈込んだSlabが随行Mantleの強い押上による平面化によって押し広げられて今回の地震が起こったことを物語っている.

図454.琉球海溝域Slab平面化震源帯PhuBdのCMT解..
左図:北西‐南東向きの曲線はPhilippine海Plateの南華Plateに対する2°(222㎞)間隔のEuler緯線.
中図:海溝距離断面図.数字とM:今回の宮古島沖地震とM6.4以上の地震発生年月日と規模.
右上図:海溝軸から海溝距離dTr=200kmの海溝軸に沿う島弧側縦断面図と移動平均地震断層面積規模曲線areaM.
右中図:時系列図.右端の数字は西暦年数.左端が移動平均地震断層面積規模曲線areaMと積算地震断層面積曲線Benioff.
右下図:主歪軸方位図.中央横線が基準の海溝傾斜方位TrDip.
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4.2022年1月の月刊地震予報
現在は,2015年11月14日の沖縄海盆震源帯Okw最大地震M7.1に続き,琉球海溝震源帯TrPhで予想されるM7.0以上の大地震を待つ状態にある(月刊地震予報147).琉球海溝震源帯のPlate境界面は摩擦によって固着しており,拡大によって容積を増加させた沖縄海盆下のMantle圧が減少し,海洋底と共にPlate運動してきた随行Mantleを引き込んでいると解釈していたが(月刊地震予報147),今回,悪石島M6.1と宮古島沖M6.1を検討することによって随行Mantleが背弧側へ流入していることが判った.
琉球Slab上面と島弧地殻との境界面の摩擦力より沖縄海盆へ流入しているMantle押しが上回れば,境界面に沿う剪断歪が解放されて大地震が起こる.震源は海底面に近いために巨大津波も伴うことから.厳重な警戒が必要である.
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2021年12月29日 発行
1.2021年11月の地震活動
気象庁が公開しているCMT解によると,2021年11月の地震個数と総地震断層面積のPlate運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で12個0.377月分,千島海溝域で0個,日本海溝域で4個0.069月分,伊豆・小笠原海溝域で4個1.091月分,南海・琉球海溝域で4個0.544月分であった(2021年11月日本全図月別).総地震断層面積規模はΣM6.7で.M6.0以上の地震は,11月11日琉球海溝域宮古島沖TrPhRk深度115㎞M6.5Toと11月29日伊豆海溝域鳥島沖TrPcI深度90㎞M6.4Toの2個である(図441).

図441.2020年12月から2021年11月までの日本全域年間CMT解
震央地図(左図)と海溝距離断面図(中図)の数字とMは,2021年11月のM6.0以上の地震・過去1年間の最大地震(月刊地震予報138).
地震断層面積変遷(右上下図)については図422説明参照(6921>月刊地震予報144).
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これらの地震の震度分布を図示した(図442).M6.5の宮古島沖の地震の場合は八重山諸島から琉球列島にかけて震度3に達しており(図442左),鳥島沖の地震では小笠原諸島から伊豆諸島・関東地方・東北地方にかけて震度2までとなっている(図442右図).

図442. 2021年11月のM6.0以上の地震の震度分布.
左図:2021年11月11日宮古島沖M6.5.
右図:2021年11月29日鳥島沖M6.4.
赤色×:震央,1-3:震度.気象庁HomePageより.
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2.宮古島沖琉球海溝震源帯M6.5To深度115km
2021年11月11日0時45分,琉球海溝域八重山小円区宮古島沖の琉球海溝軸から7㎞外側の深度115kmでM6.5Torが発生した(図443).この深度は琉球海溝地震帯TrPhの琉球Slab上面から108㎞のSlab下底部に当たる.

図443.2021年11月11日宮古島沖地震帯M6.5Toの琉球海溝域半年間主歪軸方位図.
左図:震央は北北西向き青色線.北西‐南東向きの曲線はPhilippine海Plateの南華Plateに対する2°(222㎞)間隔のEuler緯線.
中図:海溝距離断面図.数字とM:地震発生年月日と規模.
右上図:海溝軸から海溝距離dTr=200kmの海溝軸に沿う島弧側縦断面図と移動平均地震断層面積規模曲線areaM.
右中図:時系列図.右端の数字は2021年6月から半年間の月数.左端が移動平均地震断層面積規模曲線areaMと積算地震断層面積曲線Benioff.
右下図:主歪軸方位図.中央横線が基準の海溝傾斜方位TrDip.
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本地震は,本年8月5日の花蓮沖(月刊地震予報144)と10月24日の台湾の地震(月刊地震予報146)に続き,琉球Slab深部で起こっている.衝突している台湾では逆断層型であったが,今回の宮古島沖と花蓮沖は引張過剰の正断層型である.海溝から同心円状屈曲して沈込むSlab深部は短縮するため圧縮歪が蓄積するはずであるが,引張歪による地震が今回発生したことが注目される.
琉球海溝域の特異な点は,「台湾の衝突」と逆行する「琉球列島の移動」である.台湾の衝突は,脊梁山脈に鎮座する旧日本領最高峰の新高山(玉山3997m)を隆起させるとともに地殻下底のMoho面を地表に露出させ,草木の根の伸長よりも大きな隆起速度は,植生のない「月世界」と呼ばれる景観を造っている.
琉球列島がPlate運動に逆行していることは,衛星測距が開始されて間もなく判明した(図444).琉球列島の南東方向への移動は,背弧の沖縄海盆の拡大を支持するとともに,その拡大が琉球列島にも及んでいることを物語っている.ただし,琉球海溝の外側の南大東島は,Plate運動方向の北西方向に移動している.

図444.衛星測距によるPlate運動に逆行する琉球列島(after新妻,2007).
左下角の矢印の長さが年間2cmの移動量.
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台湾の衝突は脊梁山脈とその東側の海岸山脈の間を通る南華PlateとPhilippine海Plateの境界で起こっている.海岸山脈の南側は台湾小円区,北側は花蓮小円区に属し,Plate境界は花蓮から大きく屈曲して琉球海溝軸に続いている.琉球海溝から台湾までの沈込・衝突境界に沿うCMT解の最大深度は,琉球小円区で256㎞,八重山小円区と花蓮小円区境界で250㎞であるが,海岸山脈沿いは87㎞と浅くなっている(図445右上の縦断面図).

図445.琉球Slabと台湾の琉球海溝震源帯TrPh・平面化震源帯PhuBdのCMT解.
左図:震央地図.北西‐南東の曲線は南華Plateに対するPhilippine海PlatePH-SCのEuler緯線.
中図:海溝距離断面図.
右上図:海溝距離dTr=+200㎞で海溝軸に沿う島弧側縦断面図.
右中図:時系列図.右縁の数字は西暦年数.
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琉球海溝には比較的平坦な西Philippine海盆底が沈込んでSlabとなっているが,台湾には断裂帯で切断された古第三紀の西Philippine海盆拡大軸が沈込み,断層によって幾重にも切断され折重なり,海岸山脈を形成している.琉球海溝のSlab長は傾斜を考慮すると300㎞に達するが,海岸山脈沿い震源の最大深度87㎞は断層によって切断されて付加していることを示している.
台湾の衝突は琉球Slabを断層で切断し,幾重にも折重なっているが,折重なり度合が次第に減少し,折り重なりのないSlabに連続すると仮定すると,海溝軸は海洋側に屈曲する(新妻,2007).Plate運動に逆行する琉球列島の中で台湾に最も近い与那国島で移動速度が最大であることは(図444),折り重なり度合いが次第に減少していることを支持する.
沖縄海溝域のCMT解の地震断層を積算するBenioff曲線は,地震断層面積のPlate運動面積に対する比が0.36と小さいが,ほぼ一様に増大している(図446右図右端のTotal).しかし,沖縄海盆震源帯Okw・平面化震源帯PhuBd・琉球海溝震源帯TrPhの主要震源帯では,M7.0以上の地震による明確な段差が認められる(図446右図).各震源帯の段差は同期せず互い違いに起こり,全体として一つの系として歪を各震源帯に循環させながら解放している(月刊地震予報139).
最後の大きな段差は,沖縄海盆震源帯Okw最大の2015年11月14日M7.1(速報74}で,その前の大きな段差は平面化震源帯の2011年11月8日M7.0,その前は琉球海溝震源帯TrPhの2010年2月27日M7.2であり,琉球海溝震源帯から平面化震源帯そして沖縄海盆震源帯へと海溝から背弧側に移行している.
一つ前の周期は琉球海溝震源帯TrPhの2001年12月18日M7.3の段差から開始し,平面化震源帯PhuBdの2005年10月16日M6.5,そして沖縄海盆震源帯Okwの2007年4月20日M6.7へと移行している(図446右図).

図446.琉球海溝域の沖縄海盆震源帯Okw・平面化震源帯PhuBd・琉球海溝震源帯TrPhのCMT解変遷.
左図:全CMT解震央分布図.北西‐南東の曲線はPhilippine海Plateの南華Plateに対するEuler緯線.
中図:全CMT解震源の海溝距離断面分布.
右図:左から沖縄海盆震源帯Okw・平面化震源帯PhuBd・琉球海溝震源帯TrPh・全TotalのCMT解地震断層面積時系列図.areaMは移動平均地震断層面積規模曲線,Benioffは地震断層面積積算Benioff曲線.
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現在は,沖縄海盆震源帯Okw最大地震2015年11月14日M7.1に続く琉球海溝震源帯TrPhのM7.0以上の大地震を待つ状態にある.琉球海溝震源帯のPlate境界面は摩擦によって固着しているが,拡大によって容積を増加させた沖縄海盆下のMantle圧の減少が,海洋底と共にPlate運動してきた随行Mantleを引き込んでいる.背弧側に引き込まれる随行Mantleは琉球Slab底を掃引し,引張歪を蓄積させ,今回の宮古島沖M6.5と花蓮沖M6.3のSlab底正断層型地震を起こしたと考えられる.
琉球Slab上面と島弧地殻との境界面の摩擦力より随行Mantleの掃引による琉球Slab底の引張歪や,沖縄海盆からのMantle押しが上回れば,境界面に沿う剪断歪が解放される大地震が起こる.震源は海底面に近いために巨大津波も伴うであろう.
琉球海溝域の沈込Plate境界面に関係する最大地震は,以下の3個であり,いずれも台湾で起こっている.
・CMT解で,1999年9月21日M7.7の集集地震
・観測地震で,1984年11月15日M7.8
・歴史被害地震で,1920年6月5日M8.3
3.伊豆海溝域鳥島沖TrPcI深度90㎞M6.4To
2021年11月29日21時40分,伊豆海溝域鳥島沖の伊豆海溝軸から15㎞海溝外の深度90㎞でM6.4Toが発生した(図447).

図447.2021年11月29日伊豆海溝域鳥島沖深度90㎞M6.4Toの2019年6月から2021年11月までの半年間の伊豆海溝域のCMT解の主歪軸方位図.
左図:震央地図.西北西‐南東方向の曲線は太平洋PlateのPhilippine海Plateに対する2°毎(222㎞)のEuler緯線でPlate運動PC-PHの方位に沿っている.
中図:海溝距離断面図.数字とMはM6.0以上の地震の発生年月日と規模.
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発震機構は引張過剰の正断層型Toである.主引張歪方位は東北東でEuler緯線に斜交し,伊豆海溝軸方位に直交する海溝傾斜方位を向いている.
海溝軸から太平洋底は同心円状屈曲して沈込み太平洋Slabとなる.同心円状屈曲するとSlab表層付近は伸長して引張られるが,深部では圧縮されることから深度90㎞で引張過剰の正断層型の発震機構は,同心円状屈曲による圧縮を上回る引張歪の蓄積を意味する.
同心円状屈曲した太平洋Slab上面は伊豆弧地殻に固着し,Slabが沈込めない状態にあれば,Slabに行く手を遮られた太平洋底と共にPlate運動してきた随行Mantleが下方に流出する.このMantle下方流がSlab下面を掃引して引張歪を蓄積させる.
随行Manlteの背弧側への流出は,上部Mantleのα相からβ相へとβ相からγ相への相転移境界深度410㎞と550㎞に沿いSlabを押し上げて翼状Slab(月刊地震予報119,月刊地震予報131)を形成している(図448).深度300㎞からほぼ垂直に沈込むSlab上面より背弧側に分布する過去半年間のCMT震源にも翼状Slab震源が認められる(図447).

図448.伊豆海溝域のCMT解.
海溝軸域の深度50㎞以深の沈込Slab底の地震活動は,随行Mantleの背弧側への流出による掃引に由ることが予想され,伊豆海溝域に特徴的な翼状Slabも随行MantleがSlabを押し上げて形成されると考えられる.CMT解地震断層面積の移動平均規模areaMの時系列比較をすると,海溝軸域Slab深部の地震活動は,翼状Slabβと翼状Slabγとの地震活動が共に大きい時に起こっており,随行Mantleの背弧側流出を支持している.

図449.鹿島小円南区・八丈小円区・伊豆小円北区・南区の海溝軸域深度50㎞以深と翼状Slabβ・翼状SalbγのCMT解.
左図:震央地図.
中図:海溝距離断面図
右図:海溝軸域深度50㎞以深と翼状Slabβ・翼状Salbγの地震断層面積移動平均規模areaM比較.
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今回の2021年11月29日の鳥島沖M6.4の震源では,翌日の11月30日15時53分にM5.4toが起こっている.この連発地震の震央距離差は6㎞,深度差は62㎞であり,歪軸偏角は2.3°と殆ど一致し,この深度範囲に同一歪場が広がっていることを示している.
観測地震の最大規模はM6.6であるが,同規模の地震が以下の5個ある.
・1970年12月8日深度212㎞
・1982年9月6日深度180㎞
・2001年4月15日深度0㎞M6.6to
・2009年8月13日深度57㎞M6.6P
・2015年5月31日深度45㎞M6.6to
今回の連発地震が前震としても本震と予想される規模はM6.6程度が予想される.
4.2021年12月の月刊地震予報
海溝から背弧側に地震活動が循環する琉球海溝域では,沖縄海盆拡大最大地震2015年11月14日M7.1の次の琉球列島・台湾の巨大地震の準備段階に入っている.巨大地震前には巨大地震と同じ歪軸方位の前震が連発地震として起こることから,連発地震の歪軸方位に注意し,警戒が必要である.
伊豆海溝域では鳥島沖の海溝軸付近で連発地震が起こっているが,それが前震としても本震はM6.6程度と予想され,津波の発生も心配されるので警戒が必要である.
2021年11月の琉球海溝域と伊豆海溝域のM6.0以上の地震は,海洋底と共にPlate運動してきた随行Mantleの背弧側流出による掃引歪によると考えられる.随行MantleはSlabに行く手を阻まれ,300㎞程度の琉球Slabや翼状Slabでは,その下端や裂目から背弧側に流出すると考えられる.この流出Mantleは日本全域に及ぶことが予想されるので,検討が必要である.
引用文献
新妻信明(2007)背弧海盆の拡大と衝突によるスラブ重複.「プレートテクトニクス―その新展開と日本列島―」,5.17章,共立出版,126-129.
2021年11月29日 発行
1.2021年10月の地震活動
気象庁が公開しているCMT解によると,2021年10月の地震個数と総地震断層面積のPlate運動面積に対する比(速報36)は,日本全域で8個0.213月分,千島海溝域で0個,日本海溝域で5個0.614月分,伊豆・小笠原海溝域で2個0.138月分,南海・琉球海溝域で1個0.288月分であった(2021年10月日本全図月別).総地震断層面積規模はΣM6.5で.M6.0以上の地震は,10月24日琉球海溝域台湾深度73㎞M6.3Prの最大地震1個である.10月7日には,電車の脱線事故を起こした震度5強の東京湾奥部深度75㎞M5.9が起こっている(図435).

図435.2020年11月から2021年10月までの日本全域年間CMT解
震央地図(左図)と海溝距離断面図(中図)のMと数字は,2021年10月のM5.9以上の地震・過去1年間の最大地震(月刊地震予報138).
地震断層面積変遷(右上下図)については図422説明参照(6921>月刊地震予報144).
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これらの地震の震度分布は,M6.3の台湾の地震が八重山諸島に限られているのに対し(図436右),東京湾奥部の地震ではM5.9と小さいにもかかわらず,関東地方から東北地方そして伊豆諸島にも及び,太平洋Slabとの関連を示している(図436左図).

図436. 2021年10月のM5.9以上の地震の震度分布.
2021年10月7日東京湾奥部丹沢震源帯千葉深度75㎞M5.9(左),10月24日琉球海溝震源帯台湾深度73㎞M6.3Pr(右).
赤色×:震央,1-5:震度.気象庁HomePageより.
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2.台湾M6.3Pr深度73km
2021年10月24日14時11分,琉球海溝域花蓮小円区の台湾でM6.3Pr深度73kmが発生した(図437).この深度は琉球海溝地震帯のPhilippine海Slab上面から63㎞のSlab深部に当たる.
本地震は、過去半年間のCMT解19個中最大で,発震機構は圧縮過剰逆断層型で,その圧縮軸方位は(図437右下図のPink〇印),主歪軸方位図の基準としている海溝傾斜方位(中央横線[TrDip])から45°以上ずれているのでPrとなっているが,Plate運動方位線(紫色折線:Sub)に接しており、Philippine海Plateの南華Plateに対する運動方位PH-SCに沿うEuler緯線(図437左図)に平行している.圧縮主歪軸の傾斜は主歪軸方位図中心部に位置し,海溝傾斜と同じ島弧側傾斜で,Plate運動により過剰屈曲したSlab深部の圧縮歪による地震であることを示している.Philippine海Plateの沈込障害となるSlab深部圧縮歪の解放は,琉球海溝域のSlab沈込と随行Mantleの背弧側への流出を促進するであろう.

図437.琉球海溝域半年間主歪軸方位図中の2021年10月24日琉球海溝地震帯M6.3Pr.
左図:震央は西北西向きPink色線.北西‐南東向きの曲線はPhilippine海Plateの南華Plateに対する2°(222㎞)間隔のEuler緯線.震源は-54°緯線のすぐ下に位置しており,Plate運動速度は年間8.3cmである.図の下にはPlate運動のEuler極と運動速度.
中図:海溝距離断面図.震源は同心円状に屈曲するPhilippine海Slab深部に在る.数字とM:地震発生年月日と規模.
右上図:海溝軸から島弧側に海溝距離dTr=200kmの海溝軸沿縦断面図と移動平均地震断層面積規模曲線areaM.震源は花蓮小円区中央付近の+印.
右中図:時系列図.右端の数字は2021年10月から半年間の月数.左端が移動平均地震断層面積規模曲線areaMと積算地震断層面積曲線Benioff.
右下図:主歪軸方位図.中央横線が基準の海溝傾斜方位TrDip.
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3.東京湾奥部M5.9pr
2021年10月7日22時41分,東京湾奥深度75㎞の丹沢Slab震源帯最南下端に当たる千葉震源域でM5.9prが発生した(図438).

図438.2019年11月から2021年10月までの2年間の相模Trough域のCMT解の主歪軸方位図中の2021年10月7日東京湾奥深度75㎞M5.9pr.
左図:震央地図.北北西‐南南東方向の曲線はPhilippine海Plateの北米Plateに対する1°毎(111㎞)のEuler緯線でPlate運動PH-NAの方位に沿っている.2021年10月の東京湾奥の地震の主歪方位は東西で,大きく斜交している.
中図:海溝距離断面図.
数字とMはM5.9以上の地震および大正・元禄関東地震の発生年月日と規模.
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「週間現代」は『M8大地震「今年12月鎌倉」説は本当か』との記事(2021年10月23日号60-63頁)を掲載した.この記事では,本「月刊地震予報」の内容を引用する形で「今年12月までに関東大地震が起きる可能性がある」としている.しかし,引用されたと思われる月刊地震予報130では,2020年6月25日に起こった銚子沖M6.1の震源域で,1923年9月1日の大正関東地震M7.9の41日前と90日前にも地震が起っていたので警戒を呼びかけた.ただし,警戒は昨年2020年9月までで,今年2021年12月としたのは,読み違いであることは執筆記者も認めている.この記事に関する電話取材の際に,昨年起こらなかったのは「慶長地震後に開始した歪蓄積周期末期に起こった大正関東地震の前震を,東北沖平成地震後に開始したばかりの歪蓄積周期開始時の現在にそのまま対応させられない」からであろうと説明したが,聴く耳を持っていなかったようである.また,「今年12月の鎌倉説」についての説明もなかった.
歪蓄積周期(月刊地震予報122)については,これまで巨大歪を解放した巨大地震の年号を付けて呼んでいたが,現在の歪蓄積周期名は400年後の巨大地震が起こるまで分からず不便なので,巨大歪を解放して新たな歪蓄積を開始させた巨大地震の年号を歪蓄積周期名として使用することにする.これまで東北沖巨大地震と呼んできた 2011年3月11日 M9.0 を過去の巨大地震と比較し易くするため”東北沖平成(巨大)地震”と呼ぶ事にする.そして東北沖平成巨大地震が,慶長歪蓄積周期に蓄積した歪を解放し,平成歪蓄積周期を開始させたと定義することにする.
平成歪蓄積周期初期に当たる現在の日本列島の歪状態は,慶長歪蓄積周期末期の大正関東地震の時と異なっていることが予想される.1703年の元禄関東地震は1611年に開始した慶長歪蓄積周期初期に起こっているので対応が期待されるが,記録文書が少ないのが残念である.
丹沢Slab震源帯の千葉震源域ではCMT解(1994年以降)28個が報告されているが,2011年3月11日の東北沖平成地震前の慶長歪蓄積期末には3個しか起こっておらず,2005年7月23日のM6.0Pr深度73㎞が最大地震となっている.平成歪蓄積期が開始して25個と急増したCMT解中で,本地震M5.9は最大である.
関東地方で起こっている世界に類を見ない地震活動は,房総沖に地球上唯一の沈込Plate三重会合点(図438左図)が存在するからである.この三重会合点では,関東地方の北米Plateと伊豆弧のPhilippine海Plate,そしてそれらに沈込む太平洋Plateが三つ巴になって接している.
関東地方で最も重要なPlate境界は,三重会合点から西北西に伸びる相模Troughで,丹沢山地と伊豆半島の間の神縄断層を通り駿河Troughに続いている.このPlate境界に沿って東名高速道が通っているが,地質記録によるとこの300万年前以前はplate境界が中央高速道に沿う丹沢山地と関東山地との間にあったことが判明している(新妻,2007).700万年前から関東山地の下に沈込みを開始した丹沢地塊は500万年前から関東山地と衝突.300万年前には関東山地と合体し,今度は南から伊豆半島に沈込まれ激しい衝突を受けている.
700万年前以前の丹沢地塊は,Philippine海Plateに属していた.伊豆海溝から沈込む太平洋Slab上面深度が約100㎞に達するとMagmaが供給され,海底噴出によって伊豆諸島のような火山島ができる.丹沢地塊もこうしてできた火山島であった.(図439).丹沢地塊を作る火山活動があった事は,その東側に太平洋Slabが上面深度100㎞に達するまで沈込始んだ前弧海底が在ったことを意味している.伊豆海溝までの距離約200㎞.

図439.伊豆海溝域の鹿島小円南区南部から伊豆小円南区の活火山と太平洋Slabの関係.
△印:活火山.主歪軸方位は2020年11月から2021年10月までの1年間のCMT解.
左図:震央地図.2°毎(間隔222㎞)のEuler緯線はPhilippine海Plateに対する太平洋PlateのPlate運動PC-PH.
中図:海溝距離断面図.上縁の海溝距離0㎞が伊豆海溝の位置で,活火山は200㎞付近に集中している.CMT解は同心円状屈曲して伊豆海溝から沈込む太平洋Slab上面から下に分布し,上面深度300㎞付近で平面化してほぼ垂直に沈込むが,CMT解はSlab上面より下に分布している.ただし,深度410㎞と550㎞のMantle相転移面付近で背弧側に羽状に分布する(月刊地震予報131).
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Magnaが海洋底に達し,噴火口から噴出した大量の噴出物が集積して海面に達すると火山島になる.火山島の地下にはMagmaがゆっくり固結した深成岩が併入し,この深成岩が島弧の厚い地殻を構成している.
島弧地殻を持たない火山島から伊豆海溝までの前弧海底は,Plate境界から沈込み,関東平野下の丹沢Slab となっている.島弧地殻を持つ火山島は,周囲の海底の沈込に引きずられて少しは沈込むものの,沈込めず衝突する.衝突された側は隆起・削剥されて大量の礫を沈込境界に供給する.中央高速道・東名高速道沿には,火山噴出物を覆う深海泥岩とそれらを覆う膨大な量の礫岩が露出している.その礫岩は首都圏の大型建造物の骨材になっている.また、関東平野には日本海溝から太平洋Slabも沈込んでおり,衝突して丹沢Slab震源帯となっている.
関東山地に約500万年前から衝突合体した丹沢地塊とともに,丹沢Slabも北米Plateに移行している.今回の地震の震度分布(図436)が,北米Plateの東北地方上部Mantleと太平洋Slabの衝突による前弧沖震源帯と類似している(例えば月刊地震予報141の図410)ことも頷ける.
2020年6月25日に起こった銚子沖の地震は,相模Troughから沈込む相模Slab上面で起こった(図438中上図).相模Slab上面には大正・元禄関東地震の震源が分布するので,前兆の可能性もあり,警戒を呼び掛けた.その主歪軸方位はPhilippine海Plateの北米Plateに対するPlate運動方位PH-NAに沿い(図438左図),太平洋Plateの北米Plateに対するPlate運動方位PC-NAに沿った今回の地震とは異なっている(図440左図).

図440.2021年10月7日東京湾奥深度75㎞M5.9prと,2019年11月から2021年10月までの2年間の三重会合点域のCMT解の主歪軸方位図.
左図:震央地図.北北西‐南南東方向の曲線は太平洋Plateの北米Plateに対する1°毎(111㎞)のEuler緯線でPlate運動PC-NAの方位に沿っている.今回の地震の主歪方位は,Plate運動方位に沿っているが,2020年6月の銚子沖地震は沿っていない.
中図:海溝距離断面図.
数字とMはM5.9以上の地震の発生年月日と規模.
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今回の地震(M5.9)の主歪軸方位はPH-NA運動方位と異なり(図438),PC-NA運動方位に沿っており(図440左図),丹沢SlabがPhilippine海Plateでなく北米Plateに移行していることを示している.
銚子沖M6.1は相模Slab上面の深度36㎞で起こったが,相模Slab下面の下に太平洋Slabが沈込んでいる.東北地方の震源は日本海溝から同心円状屈曲して沈込む太平洋Slab上面に沿って集中しているが(図440中上図),銚子沖地震の震源はそれより11㎞以上深いことから,関東地方では太平洋Slab 上面が相模Slabに押し下げられていることが分かる.
今回の東京湾奥の地震の主圧縮歪軸傾斜が太平洋Slab上面傾斜と逆の海溝側を向いていることは,摩擦のある太平洋Slab上面の剪断歪が解放されたことを意味している.その震源が太平洋Slabの同心円状屈曲上面より17㎞深いことは(図440中上図),丹沢Slabも太平洋Slab 上面を押下げていることを意味している.
東京湾奥から北方の五霞・下妻・下館に伸びる丹沢Slab震源帯北縁(月刊地震予報66,特報7,月刊地震予報130)の深度は,関東地方の地殻下底のMoho面よりも深く,通常の太平洋Slab上面より浅いことから,太平洋Slabに接触前の丹沢Slabに対応している(図440中上図).
2021年2月から東北地方の上部Mantleと太平洋Slab間の地震が多発しているが(図435右上図),今回の地震もそれと一連の地震であろう.今後,歪を解放した太平洋Slabの活動に警戒が必要である.
4.2021年11月の月刊地震予報
琉球海溝域の台湾でPhilippine海Plateの沈込障害となるSlab深部圧縮歪が解放され,Slab沈込と随行Mantleの背弧側への流出が促進されることが予想され,今後の動向を注意深く見守ることにする.
首都圏を混乱に陥れた東京湾奥部の地震M5.9は,2021年2月から多発している東北地方の上部Mantleと太平洋Slab間の地震が関東地方に及び,上部Mantleに沈込んでいる丹沢Slabとの衝突によって発生した.これらの地震によって日本海溝から沈込む太平洋Slabの沈込障害が解放され,太平洋Slabの沈込様相が変化することも考えられるので,注意深く見守る必要がある.
引用文献
新妻信明(2007)プレートテクトニクス―その新展開と日本列島―.共立出版,292p.