速報3)関東まで続く東日本巨大地震の断層

東京における東日本巨大地震の揺れ

図4. 日本海溝周辺のプレート区分図. 二つの赤線四角は国土地理院資料のモデル断層面.赤星印は気象庁発表の東日本巨大地震の震源.BT:境界断層,MSL:盛岡-白河線,FFt:双葉断層,TTL:棚倉構造線,MTL:中央構造線,ISTL:糸魚川-静岡構造線.

 東京在住の方からの情報では,3月11日の東日本巨大地震における揺れは,大きく3つに分けられるとのことである.最初の2つは大きな揺れであったが被害が少なかったが,最後の揺れは特別強く,甚大な被害をもたらしたそうである.

 今回の地震で日本海溝陸側の下部深海平坦面東縁の隆起帯の断層は,三陸沖から関東沖に北から南に向って進行したため,仙台でも南北の揺れが激しく,物は北から南に移動した.国土地理院が地殻変動を説明するために算出した2つの断層の境界は,日本海溝に沿う海底地形の不連続と調和的である.北側の断層1は上部深海平坦面と下部深海平坦面が南北に連続する海域にあるが,断層2はこの一連の地形が切断され崖状の海底地形をなす海域である(図4).中央構造線は西日本を縦断しており,その東方延長は中部日本で北側に屈曲して関東山地の北縁を通り,利根川に沿って茨城県沖のこの海域に達している.今回の東日本大地震を起こした断層はこの境界を越えて千葉県沖にまで達していることから,東京で体験された3つの揺れは,三陸沖の断層1,福島県・茨城県沖の断層2,そして中央構造線より南側の千葉県沖に対応するものと推定される.